詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

2016-08-27から1日間の記事一覧

一族揃って、天使失格

落ちぶれ天使と うらぶれ天使は 双子の兄弟である 父親は、飲んだくれ天使 母親は、愚痴まみれ天使 兄は、どん底天使 姉と妹は、典型的な堕天使である 中でも、末っ子の 大麻取り締まられ天使は 神様から「今度やったら、一生刑務所だ!」 と、警告されていた…

たとえ、神に、罰されても

自惚れ天使は、美しい まるでラファエロの絵画から 飛び出して来たようである ちなみに、自惚れ天使の趣味は 自分の全身を、四方の鏡で眺めること 口癖は、「僕、天国一美しい」である しかし、そんな思い上がった天使を 放って置くような、神様ではなかった …

誤解と逃走

蝿的動物は 姿形こそ、やや大きめの 蝿に見えるが 実際は、蝿ではない 虫ではなく、動物である 大きく分類すると、鳥類である 知能も高く、衛生的で 犬の糞など発見しても 寄りつくどころか 吐き気に襲われながら 逃げ出してしまう ウグイスのような 美しい…

氷のトリック、やがて、完全犯罪

これは、ある猛暑の年の 夏の盛りの出来事である 氷女は、ある大富豪の 自宅プールに潜んでいた 自分を弄んだ、大富豪の御曹司に 復讐するため 御曹司が、本命の女と 楽しそうにやって来た 氷女は、水中で静かに待機していた プールの水温は、凍る直前まで冷…

砂の城の暴君

砂の城が崩れてゆく それも一気にではなく、微妙に 住人たちは ポロポロと崩れ、溜まっていく 砂をかき集めて、どうにかこうにか 城の破損部分を、修繕していくが 人手が足りず、城はところどころ ただの砂と化している 王様は、いつも怒ってばかりで 仕事の…

たまに傷

白い犬の天使 翼を羽ばたかせ 青空を駆け巡る その姿は、誰が見ても、美しい 白い犬の天使 地上に舞い降り 崖の上で、休憩している その姿は、誰が見ても、美しい しかし、白い犬の天使の 好きな食べ物が 市販のドッグフードというのは 興醒め、としか言いよ…

誰も救われない病院

夜しか開業していない 暗い街の、暗い病院の、暗い診察室で 暗い医師と、暗い看護師と、暗い患者Aが 「いっそ、三人で死にましょうか?」 と、暗い相談をしている その頃、暗い待合室の 黒い長椅子に座っている 暗い患者Bに、暗い受付の女が 「私、この仕事辞め…

色々と事情のある尻尾人間

気を付けてください 私は犬じゃありません ただ、訳あって 四つん這いになっているだけです たまたま、尻尾が生えているだけです 体毛が濃くて、遠くから見ると 獣っぽいだけです それから、さっきまでずっと ワンワン、ワンワン、鳴いていましたけど 脅され…

将来的には有り得る話

目の前の木に、セミが止まっている 鳴いている、かなり、うるさい しばらくして、泣きやむ、電池切れだ あんなに大音量で、鳴き続けるからだ 仕方ないから、電池を入れ替えてやった 復活した、また懲りもせず、鳴き出した 加減を知らない、大音量で 私、こん…

泣くに泣けない状況

濡れ女は、濡れている 顔は、何時でも化粧崩れ 髪も、乾いたことがない 当然、服もびしょ濡れで 歩く場所、座る場所 みんな濡れている 本人、かなり 自分の濡れっぷりを 気にしているから バスも乗れない 電車も乗れない 車の免許もないし 運動音痴で、自転…

豆腐男の痛い恋の結末

豆腐男が路上で 通りすがりの女に声をかけた 嫌がられるかと思ったが、意外や意外 一緒に、喫茶店へ行くこととなった 豆腐男は、この女に 一目惚れをしていた しかし、女は結婚していた 子供までいた 更に、今夜の旦那の酒のつまみは さっき、雑誌を読んで知…

完全なガムではない

ガム蛙を口に入れて 噛んでも ミントの香りがするだけで 甘くはない 甘くはないが ちょっとした口臭消しにはなるので 捕獲して、小瓶に数匹入れて 飼って置くと、便利である 餌は、言うまでもなく ミントの葉である ガム蛙は、さんざん噛んで 吐き出すと 酷…

ちょっと、ひと工夫し続ける私

手首拾った 野良犬にあげた 食べるんじゃないかと思って ドキドキしていた でも、玩具にして遊ぶだけで 食べはしなかった 取り上げた 犬が吠えてきた 「馬鹿犬! この手首は お前のような畜生の 玩具ではない!」 そう私が怒鳴ったら 野良犬は、尻尾を巻いて逃…

占有権を主張する私

誰がドアを開けるだろう 私は「帰れ!」と言うだろう 鍵を掛けていないのは 私のミスではあるけれど 不法侵入してもいい そんな理屈は通らない 尤も、ここは私の家じゃない さっき忍び込んで、居座って まだ、間もないという状況だ 誰かがドアを開けるだろう …

このアボカド、どうする?

アボカド これは、爆弾として 三流である 少なくとも レモンほどの 爆発力はない 古いビルを 破壊するのに レモンなら、一個で済むが アボカドだと 五個以上、必要になる ライムでさえ 三個で十分なのに アボカド 繰り返しになるが これは、爆弾として 三流…

私は蟹になりたい

私は蟹になりたい 蟹になって、啄木と砂浜で 彼が納得するまで、戯れてみたい 右へ、左へ 素早く、横移動して 時には、円を作って また、時には泡を吹いて また、時にはチョキを出して 泣き濡れている啄木を 心底、楽しませてやりたい 私は、蟹になりたい

たった一杯のために

機械の子供A 一日、たった一杯のオイルのために ほぼ二十四時間、労働させられる 延々と、キャベツを切らされる 機械の子供B 一日、たった一杯のオイルのために ほぼ二十四時間、労働させられる 延々と、エビフライを揚げさせられる 機械の子供C 一日、たっ…

悲劇の法則、逃れられない悲惨な最期

カエルの上にカエル 延々と積み重なるカエル まるでカエルタワー 634匹を超えると 一番下のカエルが 重みで破裂する それでもカエルなんて 低能なものだから 何も気付かず、まだ乗る 一番下のカエルは 破裂し続ける カエルは、634匹以上 積み重ねてはいけない

犬男~前世の記憶~

前世が犬の男がいた どういう訳か、その時の記憶が 体にしみついていて 誰かに「お手」と言われると 手を差し出してしまうし 誰かに「お預け」と言われると 目の前に、大好物があっても 体がピクリとも動かないし 誰かに「楽な姿勢になって」と言われると 四つん這…