詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

2016-08-29から1日間の記事一覧

妖怪、雨降らし

妖怪『雨降らし』は いわゆる、唐傘お化けである 日照りになると 村人たちに呼び出され 田畑の前で、雨乞いをやらされるが その成功率は、半日続けて、二割程度 あまり頼りにならないので 村の子供たちが、制裁役を買って出て 唐傘お化けに、石の雨を降らす …

思い上がっていた、その報い

ミイラ女は、かわいそう 約三千年前は、何もしなくても 全身、潤っていたのに 今は、どれだけ水分を摂っても 各種サプリメントを摂っても 化粧水を振っても 保湿クリームを塗っても、パックをしても エステサロンに通っても 全身、乾いたまま、どうにもなら…

革命のための音楽会

月の見える丘で 大規模な楽団が 夜空を眺めていた その時、一個の流星が、月を襲った 月は、素早くよけた しかし、彼を吊るしていた ピアノ線が切れた 月は落下する 星たちは拍手する オーケストラの演奏が始まる 指揮者は、髪を振り乱す 月は我を失い、絶叫…

芸術への理解はある人

小さい額縁に 炎が描かれた 油絵が入っていました その炎に、煙草を近付けると ちゃんと火が点きました ある時、この絵の持ち主が 誤って、指で炎を触ってしまい 火傷を負い、怒りに任せ 傍にあった、花瓶の水をかけました ジュッという音と同時に 炎の絵は…

未亡人と機械と博士の弟子たち

博士は死んだ、十年も前に 機械が残った、庭の隅の 十畳のプレハブ小屋の中に この機械は、博士が開発した この機械は、意外に大きい この機械は、歯車が無数にある この機械は、半導体が無数にある この機械は、電気とガソリンで動く この機械は、常に熱を…

複雑な心境

海底に、年老いた巨大蛸が 泥のように、生息していた しかし、もう、死にかけなので 脚一本しか動かない、墨も吹けない 仲間の若い蛸たちが 当番制で、生死の確認をする そして、食事も運んでやる 「おーい、爺さん 調子はどうだ?」 と、若い蛸が大声で呼びか…

本当に待っているのは?

あなたは、待つ人に過ぎない しかも、待ち人は来ない 手紙も来ないし、電話連絡もない なぜなら、あなたは 電話もないし、郵便受けもない 待ち人は待ち人で 電話局も郵便局も、信用していない あなたは今日も、三階の窓辺で佇む 昨日も一昨年も、そうだった …

西から来たのか、東から来たのか、も忘れた

長い橋の真ん中で 一人の男が立っていた 東にも行きたくない 西にも行きたくない だから、川を眺めていた たまに、空も眺めていた 通りすがりの人々に 水や食料を、恵んでもらっていた 「それにしたって、東にも西にも 行きたくない、いっそ川に飛び込んで 北…

降蛙確率の高い日は

朝から、小さな蛙が降り続いている 彼らは、私の傘にも 無数に貼り付き やがて、零れ落ちる 地面に落ちている 小さい蛙たちを 私は、容赦なく 長靴で踏み潰しながら 目的地へと向かう 小さい蛙たちは 私に抗議しているつもりか ケロケロ、ケロケロ とにかく…

お祭り騒ぎ

太鼓猿の背中には 河童の甲羅のように 太鼓が付いている 手の平がなく 腕がバチになっている 太鼓猿は 仲間で集まると 行列を作って 背中の太鼓を叩きながら 街を無目的に、練り歩く 大変、うるさい たまに、誰かが間違って 太鼓ではなく 後頭部を叩いてしま…