詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

シュールレアリズム

ウェイターのアルバイトから、正式な楽団員に

朝、目が覚めたら 両手がシンバルになっていた そんな、不幸な男がいた 何をするにも、凄く目立つし 言うまでもなく、とても不便で 一人じゃ、普通の生活さえ、難しかった また、誰かの話を聞いている時 感心すると、思わず、両手を合わせ ジャーン!と、叩…

世界一、男と目が合った女

モナリザは、週に一度 選ばれし、魅力的な男に 一瞬、ウインクをする モナリザは、月に一度 選ばれし、魅力的な男に 一瞬、キスを迫る モナリザは、年に一度 選ばれし、魅力的な男に 一瞬、裸を見せる モナリザは 絵画に閉じ込められた 魔性の女である 選ば…

私の部屋にプラネタリウムが出来ました

星空を切り取って 壁紙にした 私の部屋の四方で 星たちは、光り輝いている たまに、流星も見られる 二個、三個 五個、十個 もっと、連鎖する時もある 新たに、星空を調達して 壁だけではなく、天井にも貼った 困ったことに 夜でも、明るいので 容易には、眠…

不慮の事故、通りすがりの人に助けてもらう

水が飲みたかった ちょっと先に、水道があった 小走りで向かった 急いで、蛇口をひねった しかし、回っているのは、蛇口ではなく 私の、右手首の方だった 雑巾のように捩れて もう、とれそうになっている 痛みも出てきた こんな状況になっても 私の、水を飲…

国家裸体法第一条第一項により

視界三百六十度 裸体、裸体、裸体 そこは、紛れもない裸体の国で 私のような、半裸主義者は アッと言う間に、警官に逮捕され 「もう、隠し事するなよ」 と、諭され、罰金を取られ 挙げ句の果てに 衣服まで脱がされてしまう 徹底裸体主義者たちの国 もちろん…

嫌われるアラフォー女子社員

ある会社に、小さな炎を吐く 独り者のアラフォー女がいた 少し前までは 男性社員の煙草に、火を点ける時 重宝がられていた 彼女自身も 「男って、みんな私に 火を点けてもらいたいのよね」 と、思い上がっていた しかし、世間一般、禁煙の波 煙草税は、年々…

こんな理由で、人類が滅亡するなんて

慣れというものは、恐いもので いつものように 地球の周囲を巡回していた月が 油断し、誤って 地球に墜落した 人間の野次馬が どんどん、集まって来た 大怪我を負って動けない 月の情けない姿を みんな、夢中になって カメラで、撮影した よじ登って、旗を立…

物思いにふける落とし穴

私は、落とし穴です 完成してから、約三年は経っています 側面の土が、底にこぼれて やや、浅くなっています 落ち葉も、かなり、飛んでしまって 段ボールの蓋が、殆ど見えています 早く、誰かを落として、一人前になりたい そう願う、日々を送っています 実…

本体をたずねて完全に

何らかの獣の尻尾が 「本体はどこ?本体を見つけて!」 と、連呼しながら、さまよっている その姿が、あまりに痛々しかったので 思わず私が、「ここだ!」と嘘をついたら 「本当ですか?」 と、尻尾は疑っている様子 「いや、実際は違う でも、今日から私が…

やや迷惑、とはいえ、邪険にも出来ない

ある事情により 骨抜きにされ、骨なしになって 自力では、歩くことも 起き上がることも、出来なくなった 私の兄は、今日も 三人がけのソファーに寝そべり 人間の心の闇 自然の非情さ 神への皮肉 世の中の俗悪さ加減、等について 熱心に、なおかつ、酷い滑舌…

恋愛対談、恋多き氷女の赤裸々話

氷女同士で 夏、水着姿の氷女が二人 プールサイドで、恋愛について 語り合っていた 「未だかつて、私を愛して キスして、抱擁して、溶かして ただの水に出来そうな男なんて いなかったわ」 「みんな、いやらしい手で ちょっと、触るだけ」 「あっ、冷たい、…

赤ちゃんのあやし方、鉄製の場合

鉄で出来た赤ちゃんは 「高い高い」しちゃ、駄目なんです 「重いなあ」って 顔をするから、傷付くんです 鉄で出来た赤ちゃんは 「硬い、硬い」しなきゃ、駄目なんです 素手で? 違います 素手では、叩く側が 「痛そうだなあ」って 顔をするから、傷付くんで…

モテない理由、外見のせい、という言い訳

ある外見がイマイチで、モテない美大生が 格好良い自画像を書いたら 自分自身まで、格好良くなっていた お蔭で、人生初の彼女が出来た しかし、残念ながら、顔はブスだった ブスの彼女をモデルに 本人とは、似ても似つかない 美しい肖像画を描いたら 彼女は…

番号で呼び合う関係 三篇

一号の指令と十三号 行け、十三号! もう、十二号のことは忘れろ! しっかり、十四号のことを追え! 十三号! 十二号がいてくれたら・・・なんて 二度と、弱音を吐くな! 十三号! 早く、十四号のことを捕まえるんだ! 十五号に遅れをとってはならない! 十…

猟奇的殺人事件、妻を殺した男の告白

妻は、氷のように冷たい女 というより、氷の女でした 私が愛すれば愛するほど 妻の身体は、徐々に、溶けていきました 妻は、私に抱かれながら 突然、「もう、触らないで!」 と、大声で拒絶しました 私は、怒りました おそらく、狂ってもいました 急いで、私…

死への誘い、という名の合唱曲

美しい少女が 部屋のあちこちに現れて みんなで、合唱を始めた それは、聴いたことのない歌だったが 不思議と何だか、懐かしい 「ああ、大勢の少女たちが、私のために 素晴らしい合唱を、披露してくれている 有り難いな」 私は、何故か、この部屋に集合して…

マトリョーシカ

全ては夢 良い夢も 悪い夢も ただの夢 何度、夢から覚めても 再び、夢 とにかく、目が覚めたと思ったら それは夢 何度、起きても、夢の続き 全ては夢 良い夢も 悪い夢も ただの夢 まるで、マトリョーシカ? それは、間違った喩え どうやら、私は 永遠に 現実…

夢で会いましょう

目が覚めた、誰もいない 取り敢えず、再び、眠った 夢の中で、たくさんの人と出会ったけど 死んだはずの人とまで、出会ったけど 目が覚めたら、誰もいない 寂しいから、眠ることにしたが もう、たっぷり、睡眠しているので なかなか、寝つけなかった 家の外…

失われた帰巣本能

帰らない、帰らない 誰も帰らない とにかく誰も、帰らないから 街中、どこも、人だらけ 帰らない、帰らない、帰らないので ただいまも、おかえりも 死語となってる 帰らない、帰らない、帰らないでいい 疲れたら、その場で、横になるだけ 帰らない、帰らない…

墜落したら、満月のせい

満月の夜 星空から 縄梯子が 降りて来る 昇ってみようと 足をかけたら ゆっくり、縄梯子が 引き上げられてゆく どこまでも、どこまでも 引き上げられて とうとう、月までやって来た 満月は言った 「どう?私、輝いてる?」 「はい」と答えたら 「よろしい」…

少女は、追放された、私のせいで

人口のほぼ全てが、泣き女の部落で 一人、か弱い少女がいて 私が懸命に慰めてあげたら 何とか泣きやんで、次第に笑顔になった 私は、実に良いことをした と、内心、自画自賛していたが 少女は、他の泣き女たちに 笑顔の姿を発見され、写真まで撮られて 部落…

猫に尿などかけるべからず

猫に小便をかけると ちんちんが (ちんちんというのは、陰茎を 子供風に、言い替えた訳ですが) 猫の足のようになります 子作りなどに、支障が出ることは 医師に相談するまでもありません 普通に排尿するのも、ひと苦労で 尿が肉球から、滲むように出て とに…

壁を論じて、私を知る

壁、叩いても、擦っても 接吻しても、それは、壁 いつも、無反応 私の進行方向を、邪魔している 方向転換した 数歩進んだ、壁 蹴っても、息を吹きかけても 握手を求めても、それは、ただの壁 いつも、無反応 私の進行方向を、邪魔している 右を向いた、壁 左…

原始的手法を侮ることなかれ

明るくて眠れないので 電灯を消そうと ヒモを引っ張ったら 夜が、朝になっていた もう一度、ヒモを引っ張ったら 朝が昼になっていた 朝だろうと、昼だろうと 陽光が眩しくて、眠れやしない 取り敢えず、もう一度 ヒモを引っ張ったら 夜に戻ったので、安心し…

銃乱射事件、原因と結果責任

星空、手に拳銃 私は、弾があるだけ 星たちを、撃ち続けた 私は、星を 的にしていたつもりなのに 血を流し、死んでいるのは みんな、知り合いばかり 何てこった! 星に、唆されてしまったのか? 罠に嵌まっただけとはいえ 私の法的責任は、免れまい 傍聴席の…

危険地帯、ひと駅違えば、大違い

駅から出たら そこは戦場だった タクシー乗り場へ行ったら 戦車の行列が出来ていた 一応、乗車して、目的地を告げた 「その場所へ行く橋は 三日前に爆破されたので 途中までしか行けない」 ヘルメットに迷彩服の 運転手が言った 「行けるところまで、お願い…

壁画女の恋愛遍歴

壁がある そこには、女が描かれている 女には、魂が宿っている 比喩ではなく、生きている しかし、所詮は絵であり 壁からは出られない つまり、恋も出来ない 通行人を呼び止めて、話し掛けるだけ 天気の話だとか、景気の話だとか 大体、相手の話を聞くばかり…

警察曰く、この女、妄想が酷い

手錠を掛けられたまま ある一室に監禁されていた男は もう、完全に狂っていた この男を監禁し、手錠を掛けた女も 負けず劣らず、狂っていた 「手錠を外して欲しい」 と、男は涙ながらに訴えた 「手首ごと、切り落としてもいい?」 と、女は微笑しつつ、聞き…

生まれ変わったら、先端恐怖症

私は不条理にも ボールと化していた 知らない誰かに 高い場所から落とされて ピョンピョン、ピョンピョン 跳ね回っていた 爽快である ボール冥利に尽きるとは まさに、このことである しかし、それも束の間の幸福で 何か尖ったものが 私の中心に、突き刺さっ…

塔を支える原理

古くて細いが、かなり高い この土地の象徴的な塔がある 中に入れる訳ではなく 外をよじ登れる訳でもなく 何か実用的な意味がある訳でもないが あっちこっちから、観光客は集まった 人けのない、月夜の晩に 一人の酔った青年が、塔に訊いた 「おーい、塔よ お…

門がある、かなり大きい 門番がいる、かなり大きい しかも、左右に1人ずつ 私は、門をくぐりたい とにかく、中が見たくて仕方ない だから、二人の門番をけしかけて 仲違いをさせてみた 予想以上の、激しい殴り合いが 延々と、十分以上続いた やがて、右の門…

氷島の迷信、それはそれは冷たい掟

氷島は、氷で出来た島だけに かなり寒い、四季なんかない 厳しい冬と、厳しくもない冬があるだけ この島では、ある時期が来ると 夜の中央広場に 選ばれし、若い男女が 裸で放り出される 当然、寒いので、二人は抱き合う 数分で凍死する 明日の朝には、完全に…

西から来たのか、東から来たのか、も忘れた

長い橋の真ん中で 一人の男が立っていた 東にも行きたくない 西にも行きたくない だから、川を眺めていた たまに、空も眺めていた 通りすがりの人々に 水や食料を、恵んでもらっていた 「それにしたって、東にも西にも 行きたくない、いっそ川に飛び込んで …

氷のトリック、やがて、完全犯罪

これは、ある猛暑の年の 夏の盛りの出来事である 氷女は、ある大富豪の 自宅プールに潜んでいた 自分を弄んだ、大富豪の御曹司に 復讐するため 御曹司が、本命の女と 楽しそうにやって来た 氷女は、水中で静かに待機していた プールの水温は、凍る直前まで冷…

色々と事情のある尻尾人間

気を付けてください 私は犬じゃありません ただ、訳あって 四つん這いになっているだけです たまたま、尻尾が生えているだけです 体毛が濃くて、遠くから見ると 獣っぽいだけです それから、さっきまでずっと ワンワン、ワンワン、鳴いていましたけど 脅され…

ちょっと、ひと工夫し続ける私

手首拾った 野良犬にあげた 食べるんじゃないかと思って ドキドキしていた でも、玩具にして遊ぶだけで 食べはしなかった 取り上げた 犬が吠えてきた 「馬鹿犬! この手首は お前のような畜生の 玩具ではない!」 そう私が怒鳴ったら 野良犬は、尻尾を巻いて…

人間何事も慣れとはいえ

とろとろと、とろけるように 眠くなってしまって そのまま眠ってしまって 一度起きて、欠伸をして また、とろとろと、とろけるように 眠ってしまって 今度は尿意で起きて トイレから戻って来て とろとろと、とろけるように 眠ってしまって 意識が朦朧とした…