豆腐男の痛い恋の結末
豆腐男が路上で
通りすがりの女に声をかけた
嫌がられるかと思ったが、意外や意外
一緒に、喫茶店へ行くこととなった
豆腐男は、この女に
一目惚れをしていた
しかし、女は結婚していた
子供までいた
更に、今夜の旦那の酒のつまみは
さっき、雑誌を読んで知った
豆腐料理の予定だった
女は隙をついて、豆腐男の腕を
肩のあたりから、引きちぎり
家に持って帰ろうと考えていた
「そうすれば、豆腐代が浮く」
これが不況を生き抜く主婦の知恵
と、自画自賛していた
豆腐男は、純情だったので
女に、そんな策略があるとは
想像もせず、間抜けな笑顔で
豆腐ジョークを飛ばしていた
「周囲の連中からは
君って、本当に味気ない男だね
なんて、よく言われますけど
ちゃんと、味わってもらえば
分かってもらえると思うんですよね」
「ええ、その通りだと思います」
女は、そう答えると
お手洗いへ行くフリをして
椅子から立ち上がり
豆腐男の背後に回った
「夫のため、子供のため
世の中が不況であるがため」
女は、そう何度も呟いて
豆腐男の右肩を
容赦なく、チョップした!