詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

閉ざされた王様の記憶

 

王国から追放されて

狂ってしまった王様は

今じゃ、自分の頭の中すら

支配出来なくなった

 

王様は、いつも

隣国の貧民街の路地裏で

威風堂々、何をするでもなく

捨てられた、ぼろソファーに座っている

 

何故か、王冠だけは

まだ、頭の上に載っている

 

憐れと思った人々が

朝昼晩と、パンや飲み物を恵んでくれる

すると、王様は、こう礼を言う

「家来にしてやろう」

もちろん、誰もが思わず、噴き出してしまう

 

いつだったか、王様は

何かの拍子に、正気に戻った時もあった

が、三日で元通り、狂ってしまったという

 

王様が何故、王国を追放されたのか?

その真相を尋ねてはいけない

 

訊くと号泣し、暴れ出し

手がつけられなくなるから

 

王様は、ただ

ひと切れのパンを所望している

もう、それ以外、何も求めていない