詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

ボールは友達ではない

 

サッカーをしたいのに

ボールがない時

子供たちは、野山へ向かい

みんなで協力して

ボール豚を捕まえて来る

 

ボール豚は

ただの豚の頭である

長めの耳や、大きめの鼻を使って

前回りをしながら

移動するだけの、下等動物である

 

大きさがちょうど

サッカーボールと一緒で

蹴ると、ボールのように、よく弾む

 

すぐ鼻や口から、血を出すので

ゴールキーパーからは

キャッチしたくない、と不満が出る

 

試合が終わった時

九十分間、蹴りまくっていただけに

たいがい、死んでいる

 

帰り道、近所の肉屋と交渉し

引き取ってもらうと

千円前後もらえる

たくさん、衝撃を与えているから

肉は、かなり柔らかい

 

数多くの肉屋の子供が

ボール豚の頭骸骨を使って

リフティングの練習をする

 

死んでからも、この扱い

「生まれ変わっても

 ボール豚だけには、なりたくない」

 

子供たちはみんな

ボール豚を、そう蔑んでいる