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詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

桃太郎と、その子孫十三世の話

 

桃太郎

 

桃太郎は小舟に乗って

犬、猿、雉を引き連れ

鬼ヶ島へ、鬼退治に行きました

 

しかし、実際、現場に到着して

本物の鬼たちを見た

桃太郎一行は

「あんな連中に勝てるはずがない」

と、戦意喪失してしまいました

 

桃太郎は言います

「所詮、僕なんて子供なのだから

 家に帰って、お爺さん、お婆さんの

 肩たたきでもする方が、お似合いさ」

 

犬、猿、雉は言います

「おれたちだって

 吉備団子のひとつやふたつで

 出来ることと、出来ないことがあるぜ」

 

こうして、桃太郎一行は

おめおめと、鬼ヶ島から脱出して

小舟の上で、みんなで愚痴り合いながら

お爺さんとお婆さんの家へと、向かいました

 

お爺さんは言います

「桃!これからはあんまり

 大きなこと、抜かすんじゃないぞ

 

お婆さんは言います

「鬼なんか、豆さえ、ぶつけりゃ

 どこかに消えるのさ

 わざわざ、息の根を止めることもない」

 

そして、桃太郎は

お爺さんとお婆さん

犬、猿、雉と、末永く

平凡な人生を送りましたとさ

 

めでたし、めでたし

 

 

桃太郎十三世

 

桃太郎の子孫、桃太郎十三世は

かつて、鬼たちを退治し損なった

自分の祖先の念願を果たすため

最新式の空母と、戦闘機を買い

世界中から、優秀な傭兵を集めました

 

そして、鬼ヶ島へと向かい

あっ、と言う間に、勝利を収めました

 

しかし、鬼が隠し持っていた

大量の財宝を、全て売り払っても

せいぜい、傭兵たちの給料にしかならず

空母代と戦闘機代は

そのまま、借金として残りました

 

こうして、桃太郎十三世は

借金取りに追われ

日本各地を転々としながら

酒浸りの生活を送っています

 

ちなみに彼は

『鬼殺し』という銘柄の日本酒を見ると

「違う、俺じゃない、俺が悪いんじゃない

 許してくれ、許してくれ!」

と、狂ったように、泣き出します

 

このように、昔話と今の話は

天と地くらいの差があるようです

 

めでたくなし、めでたくなし

 

 

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