2016-09-05 塔を支える原理 シュールレアリズム 古くて細いが、かなり高い この土地の象徴的な塔がある 中に入れる訳ではなく 外をよじ登れる訳でもなく 何か実用的な意味がある訳でもないが あっちこっちから、観光客は集まった 人けのない、月夜の晩に 一人の酔った青年が、塔に訊いた 「おーい、塔よ お前は何故、ここに建っている?」 すると塔は、数秒後、一気に崩れて ただの瓦礫の山になってしまった その山の中に、埋もれてしまった青年は 遠のく意識の中で、こんな声を聞いていた 「若造、お前の、さっきの一言が これまで、ここに千年以上、建っていた 私のアイデンティティーを消失させた 腹立たしいから、お前も道連れだ」