自由のリスク、一体、誰が彼を唆したのか?
列車が勝手に
線路からはみ出して
どこかへ、行ってしまった
幸い、深夜の出来事で
乗客は誰も居なかった
逃亡した列車は
あの目立つ容姿だけに
すぐ発見された
誤って、崖の上から落ち
瀕死の状態だった
馴染みの車掌が
「どうして、こんなことに?」
と、列車に訊ねたら
「後悔しています
自由が、こんなに恐ろしいなんて・・・」
とだけ言い残して、彼は絶命した
他の列車に、影響が出てはいけない
そう感じた車掌は、駅に帰ると
始発の時間も近付き
そわそわしている列車たちに
大声で、こう語りかけた
「決まったレールの上を走ることは
別に、恥ずかしいことではない」