詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

警察曰く、この女、妄想が酷い

 

手錠を掛けられたまま

ある一室に監禁されていた男は

もう、完全に狂っていた

 

この男を監禁し、手錠を掛けた女も

負けず劣らず、狂っていた

 

「手錠を外して欲しい」

と、男は涙ながらに訴えた

 

「手首ごと、切り落としてもいい?」

と、女は微笑しつつ、聞き返した

 

男が「それでもいい」と、了承したので

女は斧を使って、躊躇せず

男の手首を切断した

 

男は間もなく、出血多量で死んでしまったが

手首は左右ともに、「これで自由の身だ!」

と、室内をはしゃぎ回っている

 

女は、両手首を捕まえて

「気持ち悪いから、あっちへ行け!

と、窓から放り投げた

 

両手首は「更なる自由を、ありがとう!」

と、大騒ぎしながら、地面を駆けて行った

 

女は、警察に逮捕された

 

事情聴取で、刑事に

「男の手首は、どこに隠した?」

と、何度同じことを訊かれても

女の答えは、いつもこれだけ

 

「知りません、知っていたところで

 彼らは自由に動き回りますから」