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詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話や、日常生活にあったことを書こうとも思います。

たとえ役所に届けても、きっと無視される

鳥や蝶、虫など、生き物の詩

 

女は、カラスの赤ん坊を産んだ

もちろん、性交した相手はカラスではない

しかし、今、女が母乳を与えている赤ん坊は

誰がどう見ても、鳥であり

一応、図鑑で調べてみたところ

カラスに間違いなかった

 

女は、無性に腹が立ってきた

病院の窓から、放り投げてしまえ

とも、頭によぎったが

こんなカラスの赤ん坊でも

自分が腹を痛めて産んだ子だし

想像するだけで、行動には移せなかった

 

女は両親に、この子の名前の相談をした

「自分で考えろ」と、父親

「カラスでいいんじゃない?」と、母親

二人とも不機嫌そうに、病室から出て行った

 

女は、たまたま廊下で

担当の産婦人科医とすれ違って

「どのように育てたら?」と訊いたら

彼は「専門外」とだけ答え

忙しそうに、走って逃げた

 

仲良くなった、あるベテラン看護師には

「せめてハトだったら良かったのにね」

と、つまらない冗談を言われた

 

親しい女友達が、次々やって来ても

「かわいいわね」と、お義理で言うだけ

抱き上げるどころか、触りもしない

 

女を妊娠させたはずの、交際中の男も

「やっぱり、妊娠は嘘か!

 結婚の話は、これでご破算だ!」

と怒鳴ったと思ったら、すぐに帰った

 

独り、女はベットの上で

深いため息をついた

 

そして、役所に、このカラスの赤ん坊の

出生届けを出すべきか否か、悩み続けた