隠し味は魂
妖怪キノコ人間は
決して、悪い妖怪ではない
その姿こそ
あらゆる種類の茸が固まって
人の形になっていて、気味が悪いが
心は、自己犠牲の精神に満ちている
勝手に、他人の家の
浴室に忍び込んで
浴槽をきれいに掃除し
熱湯を注ぎ、自分が入り
フタを閉める
夜になり、この家の住人が
浴室のフタを開けると、あら不思議
美味しそうな、茸鍋が完成している
しかし、どんなに掃除したところで
所詮、浴室で作った料理だから
その衛生的問題から
誰も、口にしようとはしない
掃除が大変なだけである
しかし、これは、妖怪キノコ人間の
命懸けの行為によるものである
決して、あの世の彼を、責めてはいけない