本能の悲劇
春になると
冷蔵庫型の蛹から
氷の蝶が
決死の覚悟で
飛び立って行く
恋人探し、というより
繁殖のために
氷の蝶がとけだし
水になるまで
長く見積もっても
三分はない、ゆえに
繁殖に成功する者は
殆んどいない
あちらこちらの、花の上で
無情にも、とけ果て
残された水滴が
涙のように、輝くばかり
春になると
冷蔵庫型の蛹から
氷の蝶が
決死の覚悟で
飛び立って行く
恋人探し、というより
繁殖のために
氷の蝶がとけだし
水になるまで
長く見積もっても
三分はない、ゆえに
繁殖に成功する者は
殆んどいない
あちらこちらの、花の上で
無情にも、とけ果て
残された水滴が
涙のように、輝くばかり