詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

あわれな犬

 

通称・慰め犬、かなり惨め

とても汚なく、犬に見えない

 

まるで、歩くゴミみたい

 

だから、みんなに差別され

世の中に失望した人間の気持ちが

よくわかっている

 

慰め犬は、その優しい瞳で

常に、周囲を見回し

 

いかにも不幸そう

かつ、駄目そうな人を見つけると

 

傍へ近付いて行き

尻尾を振りながら、こう言う

 

「人生なんて

 嫌になっちまうことばかりですね」

 

「お前なんかに!」

 

せっかく、慰めようと

愚痴でも聞こうと

声をかけたのに

 

いつも、人間から

こんな反応されて

嫌な思いをするばかり

 

しかし、慰め犬は、怒ったりしない

 

それどころか

「これであなたの気持ちが晴れるのなら」

と、自らの脇腹を蹴らせ

 

みんなのストレスを、解消させてやる

 

慰め犬

 

どんどん、傷が増え

どんどん、疲労し

どんどん、汚なくなり

 

実は、いつ死んでも

おかしくない状況だが

 

犬からも、人からも、誰からも

慰めてもらうことなどない

 

あわれな犬