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詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話や、日常生活にあったことを書こうとも思います。

猿蟹合戦、日本史上最悪の冤罪事件

寓話・童話・昔話

 

妊娠したメスの蟹が

お握りを抱え

柿の木の下で、休憩していました

 

そこへ、一匹の猿が

柚子を何個も、お手玉しながら

歩いて来ました

 

蟹は、提案します

「私は妊娠しているから

 酸っぱいものが食べたいの

 あなたの持っている柚子と

 このお握りを交換してくださいな」

 

猿は笑顔で、こう答えます

「僕は紳士だから、柚子くらいあげるよ

 君は妊娠しているのだから

 子供の分まで、食べなきゃいけない

 そのお握りは、自分で食べなさい」

 

こうして、猿は

柚子を、蟹の目の前に置き

何も受け取らず、この場を立ち去りました

 

蟹が、鋏を柚子に、ブツブツ刺しながら

「わあ、酸っぱい!

 身重の身体には、効くわぁ!」

と、その皮から溢れる汁を啜っていると

 

突然、風が吹き、柿の実が落下

 

彼女を直撃しました

 

即死でした

 

しかし、しばらくすると

冷たくなった母蟹の中から

 

蟹の子供たちが

ウジャウジャ、ウジャウジャ

何匹も、産まれてきました

 

蟹の子供たちが、柿の木に訊ねます

「お母さんを殺したのは誰だ?

 たとえ犯人が、鬼だったとしても

 みんなで、力を合わせて

 ズタズタに、ちょん切ってやる!」


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その余りの迫力に、柿の木は震えながら

「それは猿です!

 さっき、ここを通った猿が

 石を使って、撲殺したのです

 理由は分かりません

 おそらく、快楽殺人でしょう」

と、自分かわいさに

とんでもない、うそをつきました

 

その嘘の証言を信じた、蟹の子供たちは

栗、蜂、臼、牛の糞らの助けを借りて

問答無用で、猿を惨殺しました

 

これが、日本史上

最も、悲惨な冤罪事件として

二十一世紀になった今でも

老若男女に、語り継がれている

 

猿蟹事件の全貌なのです