誘惑された女は、我を失い、蝶になる
食べられる蝶は
世界一のスイーツ
男はあまり食べないかも知れないが
女は、見掛けると、放っとけないものである
パタパタと飛んでいる、この蝶を
生け捕りにして、踊り食いすれば
羽根にまぶされた燐粉が
砂糖とは違った、上品な甘味があり
言葉に出来ないほどの、美味である
しかし、この蝶を食べてしまった女は
一定時間、必ず、頭がおかしくなる
自分が蝶になった、つもりになる
両手を羽根に見立てて
楽しそうに、スキップしながら
花畑に突っ込んで行く
そこで、芋虫でも見付けようものなら
「まあ、なんて可愛いベイビー!
許されるなら、養子にしたいわぁ!」
と、感想を言い、手にとって、撫で始める
ある産後の女は
自分の赤ん坊を、放ったらかし
乳首に芋虫をあてて
「たくさん、たくさん、お飲みなさい」
と、授乳を始めたそうだから、酷い
更に、誰かが親切のつもりで
ジュースをあげても
「ストローがないと飲めない」
と、ワガママを言うそうである
そんな訳で、食べられる蝶は
食べてはいけない蝶であることを
世の中の女性は
きちんと、自覚して置かないと
いけないようである