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詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

物思いにふける落とし穴

 

私は、落とし穴です

完成してから、約三年は経っています

 

側面の土が、底にこぼれて

やや、浅くなっています

 

落ち葉も、かなり、飛んでしまって

段ボールの蓋が、殆ど見えています

 

早く、誰かを落として、一人前になりたい

そう願う、日々を送っています

 

実は、まだ私、誰一人

人間を、いや、動物すら

引っ掛けたことがないのです

 

一般的な落とし穴は、出来てすぐ

誰かを引きずり込むことに、成功するのが

 

大半だというのに

 

例えば、ある英雄的落とし穴は

わずか一ヶ月で、百人以上、引っ掛けて

役所から「市民の安全が脅かされている」

と、評され、数人がかりで埋められるという

悲劇的、かつ、名誉ある死を遂げたそうです

 

しかし、これは過去の話

 

私も、気付いてはいるのです

 

こんな時代ですから

 

落とし穴なんて

古典的な罠に、引っ掛かる人間なんて

そうはいないことを

 

もう、諦めよう、と

 

そんな時、通りすがりの

二人組が言いました

 

「それが、人生の落とし穴さ」

 

もちろん、この二人組は

私の、かなり横のあたりを

 

すり抜けて行くだけでした

 

でも、何だか、無性に嬉しかったのです

 

たとえ、比喩の世界であっても

私たち、落とし穴が

今もこうして、活躍していることを

知ることが出来た訳ですから