詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

こんな理由で、人類が滅亡するなんて

 

慣れというものは、恐いもので

いつものように

地球の周囲を巡回していた月が

油断し、誤って

 

地球に墜落した

 

 

人間の野次馬が

どんどん、集まって来た

 

大怪我を負って動けない

月の情けない姿を

 

みんな、夢中になって

カメラで、撮影した

 

よじ登って、旗を立て

訳の分からないことを、叫ぶ者がいた

 

「意外と小さいね」

と、指を差して笑う者がいた

 

ウサギが餅つきする

落書きをする者がいた

 

クレーターを的にして

ダーツ遊びをする者がいた

 

失礼な、テレビのインタビュアーも

大勢で、くだらない質問をした

 

月は、この屈辱に耐えながら

体力の回復を待った

 

そして、数日後

無言で、夜空へと帰った

 

世界各国のマスコミから

「これだけの被害が出ているのに

 ノーコメントを貫くなんて

 どういうつもりですか?」

という、バッシングを受けながら

 

 

無事、宇宙へと戻った月は

地球に、というより、人類に

復讐することばかり考えていた

 

命知らずのチンピラ星を

何個も雇うことにした

 

地球を四方八方から、攻撃するために

 

こうして、地球は破壊され、人類は滅亡した

 

失敗した者を

 

公衆の面前で

 

辱しめてはならない