詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

大きなかぶ、酷い一味に唆されて

 

畑に、それは大きなカブが出来ました

 

お爺さんと、お婆さん

犬や猫や鼠、あらゆる力を結集し

 

「うんとこしょ、どっこいしょ!」

 

と、その大きなカブを

引き抜こうとしましたが

 

結局、無理でした

 

お爺さんは、言います

「こんな強情なカブは

 もう、どうでもいい

 永遠に無視する

 勝手に腐ってしまえ!」

 

鼠は、こう続けます

「ただ、友達になりたいだけなのに

 こいつ、自意識過剰だな」

 

 

しばらくして、大きなカブは

自力で、地中から出て来て

ちょうど、縁側で、お茶を飲んでいた

お爺さんと、お婆さんのところへ行き

「お近付きの印に、私にも、お茶を一杯」

と、土だらけの顔で言いました

 

お婆さんは、笑顔で

台所へ向かいました

 

お茶の支度ではありません

 

この大きなカブを、仕留めるために

この家で、一番、大きくてよく切れる

自慢の包丁を、取りに行ったのです

 

そして、大きなカブが、お爺さんに

地中で、モグラにくすぐられたという

微笑ましい話をしているさなか

 

お婆さんは、大きなカブを

背後から、サックリ

包丁で、切りつけてしまいました

 

もう、真っ二つになってしまった

大きなカブに、鼠が駆け寄り、こう言います

 

「お前なんかと、友達になる訳ないだろ

 この、土臭い、田舎者め!」

 

ちなみに、地中で

大きなカブをくすぐっていたモグラは

犬と猫に地上へと、引っ張り出され

さんざん、前足で弄ばれた挙げ句

 

絶命しました

 

それにしても、世の中には

酷い一味がいるものです

 


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