鉄球君、殺人事件に巻き込まれ、性格変わる
鉄球君、姿は
砲丸そのもので
ゆっくりではあるが
動くし、言葉も喋る
とても無邪気で、とても明るい
かなりの自信家でもある
だから、鉄球君は
よく自画自賛をする
「僕はねえ、硬くてねえ
重くてねえ、黒くてねえ
ツヤがあってねえ、男らしくてねえ
可愛くてねえ、優しくてねえ
賢くてねえ、面白くてねえ
とにかくねえ、素晴らしいのね!」
このように
喋り出したら止まらない
多弁な、鉄球君だったが
つい、この間
ある殺人事件の凶器に使われ
(最初に、現場で発見された
鉄球君は血だらけで
身体が、小刻みに、震えていたとのこと)
驚くほど、無口になってしまい
今はもう、ただの砲丸と、変わらない