地獄絵図、その罪深さゆえ
ハリウリネズミは
あちこちの家に、忍び込んでは
裁縫に使う針を、あるだけ盗み出す
そして、それを背中に、何本も
痛くないように、軽く刺して
旅をしながら、売り歩く
別名、「行商ネズミ」とも言われている
ところで、このハリウリネズミ
その死因の多くが
人間による、踏みつけである
踏み潰されるだけでも
充分、悲惨な話なのに
そのうえ、自分が盗んで来た針が
何本も、背中から、腹を貫通している
その姿、その形相は
いかにも、この世の終わりといった感じで
固まっている
所詮、泥棒に過ぎない者の運命なんて
こんなものなのかも知れない