入院している母親のお見舞い、病棟で迷子になる私
今日の午後、私は、胃癌で入院している母親のところへ、お見舞いに行きました。
自宅から、病院までの道のりは、車で50分くらいかかるものの、道路は広いし、車も混まないし、殆ど、曲がる場所もないので、比較的、通いやすい感じです。
ただ、大病院なので、中に入ると迷宮のようで、3分あれば到着出来るはずの病室へ行くのに、私は、10分も、かかってしまいました。
数日ぶりに見た母親は、抗がん剤の影響もあるのか、ぼんやり、寝ながらテレビを見ていて、私が来ても、歓迎する感じではありませんでした。
しかし、数分後、見ていた番組が終わったらしく、テレビの電源を切ると、母は、自分で体を起こし、私に、先生や看護師、隣の病人、病院のシステム、新しい抗がん剤の効果と、副作用について、一気に語りだしました。
母は、あれこれ、話をしているうちに、エンジンがかかりだしたのか、トイレへ行ったり、麦茶を飲んだり、アイスを食べたり、病室の側のロビーまで行き、病棟の7階から、外の風景を眺めつつ、私と、家にいる祖母の話をしたり、意外と、元気でした。
1時間後、私は、「日曜なら、家に誰かいるから、また、来れると思う」と言い残して、病室を出ました。ちなみに、母が別れ際に言った台詞は、「調子がよほど悪くない限り、思ったより早く、退院させられるみたいだから、冷凍庫のアイス食べないで」でした。
私は帰りも、病院内を、結構、さ迷って、同じ看護師さんに、違う場所で、三回もすれ違い、その度、会釈されました。きっと、若い彼女は「このおじさん、いい歳して、迷子?笑える!」と、内心、私を馬鹿にしていたに、違いありません。
それでは、読者の皆さん、次の「日常の話」の時まで、さようなら。
大病院は、迷宮と同じです。ただ、脱出するだけでも、ひと苦労です。皆さんが、こんな恐ろしい場所に、行かないで済む人生が送れるよう、祈っています。