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詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話や、日常生活にあったことを書こうとも思います。

車椅子なんて、乗らなきゃ良かった

日常の話

 

 今日の午後、私は、母親が、胃癌で入院している病院へ、お見舞いに行きました。金曜日に、抗がん剤の点滴を打ち、今日あたりが不調のピークと聞いていたのですが、会ってみたら、意外と元気で、薬の副作用も、多少、足が痺れるくらいで、それ以外は、特にないとのことでした。本人は、毛髪が抜けることを、最も心配していましたが、そんなこともなく、逆に何故か、髪が太くなり、艶が出て、白髪まで減っている印象でした。

 

 食事量も少しずつ、増えているようですし、普通に、自分で歩き回れますし、痛みのようなものもなくなり、私の想像以上に早く、母は、退院出来るかも知れません。

 

 母は、入院してから、まだ一度も、入浴させてもらってないそうで、妹が身体を拭いてやることとなり、私はここに居ても仕方ないので、母のいる病室を出ました。

 

 廊下を少し歩くと、足が不自由な人のために、車椅子が数台並んでいました。


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 試しに乗ってみました。一応、読者の皆さんに伝えて置きますが、私は、かなり健脚な方です。

 

 最新式なのでしょうか?結構、乗り心地が良かったので、廊下の端から端まで、車椅子で歩いてみました。

 

 車椅子に乗ったまま、ロビーの自動販売機で、コーヒーを買い、窓際で、それを飲みながら、外の景色を眺めていると、いかにも病人といった感じの、パジャマ姿のお爺さんがやって来て、「どこが悪いんですか?」と、訊かれてしまいました。

 

 私は、数秒間、答えに悩んだ挙げ句、「実は、元気でして・・・」と、立ち上がり、コーヒーを飲み干し、ゴミ箱にカップを捨て、再び、車椅子に乗り、その場から、逃げ出しました。

 

 暴走、という表現が適切なくらい、スピードが出ていた気がします。とはいえ、ほんの数秒ですけど・・・。

 

 帰りのエレベーターで、若い女の看護師に、「こんな患者いたかしら?」と、言わんばかりに、ジロジロ見られました。

 

 しかし、私は、そんな彼女の、無言ながらも、厳しいプレッシャーに耐え、急いでエレベーターから飛び出し、車椅子を元の場所に戻し、母の病室へと、無事、帰ることが出来ました。

 

 母の隣のベッドに、やたら、うるさい見舞い客がいて、母は顔をしかめ、「常識のない人」と、小声で言いました。

 

 私も母に合わせて、顔をしかめ、無言で何度も頷きました。自分の常識のなさは、棚に上げて・・・。