不審者認定、吠えない番犬
とにかく、臆病者の犬がいる
飼い主は、一応、番犬として飼っている
しかし、コイツは、吠えやしない
緊張からか?病気なのか?
いつも、汗ばかりかいている
常にズブ濡れ、臭いもきつい
本当に、コイツは、臭うだけ
吠えやしない
雑巾のような臭いで
雑巾のように無害で
雑巾ほどに、有用ではない
そんなコイツは、自分の役割を、完全放棄し
吠えやしない
「不審者さん、不審者さん」
「なんですか?この家の人」
「ウチの番犬は、どうしてます?」
「濡れに濡れたうえ、震えているようだが
臭い!それにしても、臭い!」
「今に吠えられますよ
その前に、立ち去ってください」
「いや、コイツは吠えやしない」
「よく耳を澄ましてください
小声で、吠えていませんか?」
「吠えてないね」
「もう一度、確認してもらえますか?」
不審者いわく
「コイツ・・・吠えやしない
・・・・・・臭うばかりだ」