詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

認知症の祖母と、消えた小松菜、あるいはホウレン草

 

 今朝、縁側にあるソファーで、祖母がウトウト眠っている隙に、私は車で、近所のコンビニへと買い物に出掛けました。

 

 二十数分後、私が帰宅すると、祖母は玄関と縁側を、ゆっくり歩きながら、あちこち見回して、「おかしい!」と、大きな声で言いました。

 

「どうしたの?」

「どうしたのって、無くなったんだよ」

「また、何か無くした話・・・で、今度は何が無くなったの?」

小松菜だよ!」


f:id:kitafumi:20170330135334j:image

 

「小松菜?今、誰かがやって来て、ウチにくれたの?」

「違うよ。昨日からあったんだよ。ここに!」

 

 そう言って、祖母は、玄関の隅に置かれた、野菜がしまってある段ボールを開けて、「ナガネギ、ニンジン、ジャガイモ、サツマイモ・・・やっぱり、小松菜がない!」と、中身を確認してから、私の方を見ました。

 

「私が、ウチの野菜の管理をしている訳ではないから、絶対とは言い切れないけど、小松菜なんて、元から無かったような気がする」

「そんなことない!朝も、さっきも、ちゃんと、小松菜はあった!」

「どうでもいいよ、小松菜なんて・・・」

「大変だ、誰かに小松菜が盗まれた!」

「誰も、小松菜なんて盗まないよ。それに、もし、本当に盗まれたのだとしたら、どうして、ニンジンやジャガイモは盗まれない?」

 

 ・・・我ながら、どうでもいい質問です。

 

 そんな私のどうでもいい質問に、祖母は、時間をかけて懸命に考えた末、こう答えを導き出しました。

 

「きっと、重かったんだろう。特にジャガイモは」 

 

「・・・とにかく、小松菜のことは忘れよう」

「忘れたくても、忘れられない」

 

 小松菜を?そもそも、そんなに好きだった?そんな意味ありげな、言い回しまでして・・・。

 

「小松菜、食べたいの?」

「そういう訳ではない」

「どうしても食べたいなら、買って来てもいいけど」

「買ってまで、食べるようなものじゃない」

 

 だから、盗まれたのかも?もちろん、ただの冗談です。真相は、いつも通り、ほぼ100%祖母の勘違いでしょう。

 

 三十分後、私が二階の自分の部屋で、テレビを観ていた時、一階から祖母の、私を呼ぶ声がしました。私が、面倒だなと思いつつも、階段を降りていくと、慌てた様子で、祖母がやって来て、こう言いました。

 

「もしかしたら、小松菜じゃなくて、ホウレン草だったかも知れない!」


f:id:kitafumi:20170330150915j:image

 

 貴重な情報、わざわざ、ドウモ、アリガトウ・・・。

 

 

広告を非表示にする