ひよっこの第5週、東京編の始まりは、面白かったという感想です
朝ドラ「ひよっこ」は、第5週から、物語の舞台が、茨城から東京に変わりましたが、このドラマの持っている雰囲気自体に(また、視聴率的にも)、大きな変化はなかったようです。
相変わらず、笑えるシーンは多いですし、みね子は「おどうさん・・・」と語りかけますし、人によっては感動して、泣くシーンもあったでしょう。
茨城編の第一週もそうでしたが、このドラマの監督・脚本家は、物語の舞台の雰囲気作り、場所等の説明、登場人物の紹介、性格の描写が巧いです。
たった一週分の放送だけで、新しい主要な登場人物、愛子、幸子、優子、豊子、澄子のキャラクターを、きちんとエピソードを進めつつ、明瞭にしています。
特に、愛子と澄子は、一見、単純なキャラクターのようで、複雑なところがありそうです。
愛子は、自分が働いて、妹と弟を学校へ行かせたり、戦争で恋人を失っているという、バックボーンがありますし、既に母親を亡くしている澄子は、実家にいた頃、家事と農作業で休みがない生活をしていたうえ、父親が再婚して、居場所を失っているというバックボーンがあります。
こんな、暗いカゲのある二人ですが、共通しているのは、「ちょっとやそっとの苦労には負けない、ある種の鈍感さの持ち主で、かなりコメディータッチに描かれている」点でしょうか?
色々と愛子のことを誤解していた、みね子が、彼女の部屋に謝りに行くと、「え、何が・・・?何だか分からないけど・・・許す」と答えて、ウフフと笑い出す愛子です。
「許してあげます」ではなく、「許す」という、簡潔でぶっきらぼうな表現に、(当たり前ですが)プロの脚本家のワードセンスを感じます。
寮の見廻り中の愛子は、前傾姿勢になり、ヒョコヒョコと、跳ねるように歩きます。この人自身が、不審人物のようです。
部屋で枕投げをしている、みね子たちを「青春だねぇ」と、注意せず、見逃してあげます。
仕事でミスを連発し、申し訳なくて、大好きなナポリタンさえ、食べる気がしないみね子の横で、豪快にナポリタンの大盛りを食べる澄子、実は、みね子が仕事で、何度もミスしてしまう主要な原因は、彼女の作業時間の遅さにあるのですが・・・。
すぐ傍で、みね子をめぐって、時子と豊子がケンカをしている最中でも、熟睡中の澄子、ちなみに、皆が注目していた中、思わず出てしまった寝言の内容は、「おれでねえです、みね子さんです」でした。
みね子のために、わざとミスをして、ベルトコンベアーを止めた時子に、体育以外オール5の秀才、豊子が堂々と詰問します。それに対して、「だから、間違ってるのは、分かってるって、言ってるでしょ!」と、時子は開き直り、ケンカになります。
その後、説明するのが難しいくらい、話がとっちらかります。そして、二人は仲直りし、抱き合い、みね子は、自分のことで仲間が揉めていることのバツの悪さから、寝たフリをしていたことがバレ、これまでの有村架純のキャリアにはない、オトボケぶりを発揮しますが、話は更に、とっちらかって、「仕事なんだよ、子供の頃とは、茨城にいた頃とは、違うんだよ!」みたいな真面目な話を、みね子がすることになります。
更に更に、話はとっちらかり、「時子はみね子が好き、みね子は時子が好き」みたいな、愛の告白状態となり、視聴者の多くは、「面白かったけど、話がとっちらかりすぎて、疲れてしまった」という気分にさせられます。
ただし、このとっちらかりシーンを、「この脚本家には、まともに会話を構成する力がないようだ」と批判するのは、お門違いです。これは、若い娘が複数で会話をし出したら、このくらい話がとっちらかるという、計算されたシーンですから・・・。
時子の「自分は人とは違うとか、無理するのはやめなよ。東京に来たんだよ。新しい自分になってもいいんだよ・・・豊子は可愛いよ」みたいな話も、こんな幼稚で一方的な台詞、と思う人もいるかも知れませんが、これは還暦2~3年手前の脚本家の意見じゃなくて、ドラマの登場人物の台詞だから、時子の意見だから、ちょっと幼稚で一方的なくらいで、正解なんだと思います。
少し気になる点があるとすれば、この週の終盤から、方言が「取り敢えず訛っていれば、もう、茨城も東北もなくていいんじゃない?」って感じになってきたような印象を受けるのですが・・・私の気のせいでしょうか?
ところで、向島電機コーラス部が、新入社員歓迎のために唄った、「♪ルーンルンルン、ルーンルンルン・・・」からの、「ミミズだ~って、オケラだ~って、アメンボだ~って♪」のシーンを、きれいな合唱で感動的だったと言う人がいますが、逆に私は、笑っていいシーンという気がするんですが、作り手の人たちは、どういうつもりで、このシーンを描いたのでしょう?
気になります。
今回の私の記事、何かを論じる訳でもなく、第5週のダイジェストでもなく、ひよっこの第29話以上に、かなり、とっちらかっています。
読者の皆さん、どうか、ご容赦ください。次はもう少し、まとまりのある記事を書けるよう、努力しますので・・・。
とっちらかりついでに、いずれこの場所でパン屋をやるのが夢だという娘がいる、ありそうでなかった、面白い設定の米屋で働く、三男の話をします。
朝食に、米派の店主からご飯、パン派の娘からトーストを勧められ、困った三男が、間をとって、トーストにメザシ(ご飯のオカズ)をのせて、食べるというシーンがありましたが、これは演出上の大きなミスだったと思います。
この状況で、トーストにのせて食べるべきものは、メザシではなく、絶対に、ご飯だったと思います。
・・・どうでもいいことでした、すみません。