詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

ひよっこ、第9週「ドラマチックなエピソードは、お好きですか?」


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 NHK・朝の連続テレビ小説「ひよっこ」の第9週(49話~54話)は、このドラマの特徴でもあった、フラットでスローな、ストーリー展開とは違い、この週だけで、複数の大きなエピソードが連続する、「向島電機・乙女寮編」のクライマックスに相応しいものでしたが、反面、「ここぞとばかり、ドラマチックなシーンを放り込み過ぎて、週としてのバランスを欠いている印象」も、否めない気がしました。

 

「向島電機の倒産・工場閉鎖の決定」に始まり、「音楽講師・高島の幸子へのプロポーズ」、「優子の帰郷」、乙女寮の卒業セレモニーとも言える「自社ラジオの授与式」、そして「豊子の乱、工場内籠城騒動」と・・・一部の視聴者からの「とにかく、このドラマは会話ばかりで、何も起きないので、退屈!」という批判を覆す、ザ・サプライズの連続は、まるで、別のドラマを観ているかのようでした。

 

 尤も、この週の最終話(54話)では、再び、これまでの「ひよっこ的トーン」に戻っていましたが・・・。

 

  それにしても、「奥茨城村編」でもそうでしたが、この「向島電機・乙女寮編」でも、脚本家の岡田恵和氏は、出会いのシーン(キャラ紹介)と、別れのシーンを描くのが、本当に巧いです・・・ただ、別れのシーンで視聴者を感動させておいて、比較的すぐに、別れた相手を登場させてしまうのは「どうなの?ズルくない?」と、皮肉ってやりたくもなりますが・・・。

 

 


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 この上記画像の米屋の娘・さおり、ただのチョイ役かと思っていたら、とんでもない隠し球でした。

 

 例によって、三男を追跡するさおり、辿り着いた喫茶店で、茨城トリオの会話を盗み聴き、ウェイトレスに何かをこぼされ、大きな声を出してしまうという、アクシデントにもめげず、機転を利かし、傍にいた、知らないオジサンに抱きつき、カップルを装う・・・時子が「その娘(さおり)さん、アンタに惚れてるんじゃない?」と指摘すると、「農家の三男坊から、米屋の婿養子だなんて・・・」という三男の不満げな答え、それを聞いたさおりは逆上し、「今、自分の目の前にいる人間は全て敵!」と言わんばかりの態度で、関係ない人たちに八つ当たりしながら、立ち去って行く。

 

 個人的には、今週のひよっこで、一番面白かったシーンです。高島のプロポーズや、豊子の乱で、懸命に業者を食い止める松下なんかより、ずっと印象的でした。

 

 彼女のような、脇役の脇役クラスで、この存在感・・・本当に、ひよっこのキャスティングは(少なくとも、ここまでは)、各メディア・批評家から、多くの好評価を受けている、演出や脚本や音楽や美術以上に、大成功していると思います。

 

 舞台が「すずふり亭・あかね荘編」に移っても、新しく投入されるキャストが、この良い流れを引き継いでくれることを、当然、私は期待していますが・・・しかし、新キャストのリストを見る限り、「このキャラ要る?」、「何で、この役者なの?」という、ハズレキャラが続出する可能性も・・・決して、低くはない気がします。