詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

ワイドショーのコメンテーターの存在意義とは何か?


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 NHKとテレビ東京以外、各局、ほぼ同じ時間帯に、似たようなスタイルで放送している、報道のような、バラエティーのような、日本独特の番組コンテンツ、ワイドショーは、皆さん、お好きでしょうか?

 

 おそらく、そう誰かに訊かれたら、日本の過半数以上の人が、嫌い、もしくは、興味がない、と答えるような気がします。たとえ、好きな人でも、「自分が 、有名人の醜聞好きの(あるいは、他人の不幸が好きな)俗物」と思われたくないので、「たまに観ますけど・・・余計なお世話ばかりしてますよね?」とでも答えて置くのが、現代日本における、大人の常識的態度のような気がします。

 

 このワイドショーという、テレビ番組のスタイルは「看板司会者を置き、進行の局アナを置き、数人のコメンテーターを置く」ものが、最も典型的で、昔からあるメジャーなワイドショー番組は、全てこれと断言しても、特に反論されることもないでしょう。

 

 そんな典型的スタイルのワイドショーの人気を左右する、重要なポジションといえるコメンテーターには、政治評論家・経済評論家・ジャーナリスト・弁護士・医師・作家・画家・音楽家・映画監督・芸人・元スポーツ選手など、ありとあらゆる分野から、どの番組も、比較的バランス良く、集められている印象です。

 

 また、この人たちは、最近、起きた、あらゆる出来事について、例えば、有名人の熱愛・結婚・出産・離婚・不倫・クスリ・借金・病気・事故・事件・裁判、それだけに限らず、皇室問題・国内政治(経済)・国際政治(経済)、殺人事件を始めとする社会事件や、あちらこちらの社会的流行に加えて、サッカー・野球・相撲・ゴルフ・テニスなど、スポーツ全般、更に、健康や料理やファッションや観光や住宅など・・・とにかく、世の中の全てのことに関して、即座にコメントを求められます。

 

 つまり、本当はやりようのない、無茶苦茶な役回り、それがワイドショーのコメンテーターです。

 

 どれだけ、知識と知性と見識と個性とを備えた人物でも、全ての分野(事柄)で、「的確に現状を認識しつつ、常識(一般論)も踏まえつつ、専門家も驚くような斬新な持論を、誰にでも分かるような言葉でコメントする」、しかも、司会者に話をふられてから、数秒後、一分程度にまとめなければいけない・・・たとえ池上彰でも、絶対に無理でしょう。

 

 だから、多くのコメンテーターは、自身に完璧を求めるのではなく、「確かに私は、大したコメンテーターではない。だけど、私より、もっとバカが、何人もコメンテーターやってるんだから、別にいいだろ!」と、開き直っているようです。

 

 実際、今、ワイドショー(朝や夕方の、生活情報系ニュース番組も含め)における、テレビ局(番組)側の人間の、コメンテーターに対するハードル(期待値)は、地面スレスレまで下がり、何でもアリの状況(今朝、新聞とスポーツ新聞は読んできました、みたいな人ばっかり!)になってしまったといっても、決して、間違いではないと思います。

 

 その影響なのか、ネットなどでは、慢性的に「ワイドショーに、コメンテーターなんていらない!」という声が上がっているのが、普通のようです。

 

 コメンテーターをやる側は、特に知識人・文化人というジャンルで、実は本業が振るわない状態にある人にとっては、ギャラがもらえるし、著書の売れ行きも上がるし、講演の仕事も取りやすくなるし、テレビタレントになる切っ掛けにもなるし、テレビCMに出る切っ掛けにもなるし、良いことばかりなので、ワイドショーのコメンテーターという稼業が、今後もあった方が良いと思うのは、当然でしょう。

 

 では、テレビ局(番組)側は、一体、何にメリットを感じているのでしょうか?ただ、昔からやっているから、慣習(伝統芸)として、今も続けているだけなのでしょうか? 

 

 そうではない、と思われます。ワイドショー番組に、コメンテーターを置き、彼らが意見を述べ合う、時には、議論を闘わせる場面を作れば、(殆どの日で、大したニュースがない)番組の時間を埋めてくれるため、かなり重宝なうえ、何か失言があった時、「番組の意見ではありません。コメンテーター・個人の意見です」と、リスクを回避出来るので、やはり、使う側も、使われる側と同様に、有り難いシステムなのです。

 

 はっきり言って、視聴者の中には、コメンテーターどうこうの前に、ワイドショーそのものの存在意義について、疑問に感じている人も少なくないと思います。

 

 しかし、ワイドショー番組も(コメンテーターを多用するシステムも)、今後、なくなることはないでしょう。

 

 一部の視聴者の、不快や、そこから生まれる批判なんて、番組を作る側の都合と、天秤にかけたら・・・ただ、無視をすれば(あるいは、気にかけているポーズだけとれば)、別に、構いやしないことですから・・・。