詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

ひよっこ、大子山の狸・みね子は、果して、佐賀のシンデレラに、化けられるのか?

 

f:id:kitafumi:20170719090729j:image

 

 NHK・朝の連続テレビ小説「ひよっこ」は、茨城を代表する大子山の狸・みね子と、佐賀を代表する大企業の御曹司・島谷の交際が始まり、「なぜ、島谷?」、「どうせ、別れる」、「お喋りみね子」、「小理屈屋の島谷」、「二人の周囲が鬱陶しい」など、このドラマ(主人公)に、これまでなかった、恋愛要素が加わったことで、「あーでもない、こーでもない」と、盛り上がっているファンも、少なくないようです。

 

 

 二人の初デートでは、いきなり、現実には存在しえない、謎のダンス集団の中を、二人が全く気にも止めず、歩いて行くという、無茶な演出が・・・どうしても、こういうダンスシーンがやりたければ、みね子の空想世界(デートのイメージ)としてか、前夜の夢としてやるべきで、たとえ、ドラマというフィクションの表現だとしても、違和感が残るものだったと思います。

 

 

  みね子と島谷の、デートの主な出来事は、「東京タワーで、島谷の高所恐怖症が発覚」、「みね子のおごりで、みたらし団子を食べる」、「島谷の大学で、彼の、父親への思い、家業への思いが語られる」、「島谷の友人に、みね子が恋人として紹介される」というものでした。

 

 このデート中でも、触れられましたが、島谷の「お金持ちの大学生」としての苦悩というものは、彼も、みね子のように働いて、経済的に自立すれば解決する話でしかなく、それを指摘する人間が、周囲に一人もいないことこそ、彼の、本当の不幸という気がします。

 

 そもそも、父親が嫌いな訳でもなく、家業を継ぐことが嫌な訳でもないなら、親の経済力に頼ることは、そんなに嫌ではないはずで・・・普通の、この手のお坊ちゃんキャラは、嫌いな父親からの助けは受けたくない、しかし、それを拒むだけの生活力はない、そして、このような助けを受けている以上、いつか、継ぎたくない家業を継がされる、そこに苛立ちが生まれ、自分の矛盾(勝手な論理)にも気付きつつ、苦悩する訳ですが・・・この一見、誠実そうにみえる、島谷という青年のいやらしさの根幹にあるものは、「自分は、父親を始めとする、あらゆる他者より、良識のある人間」と、思い込んでいる(そのうえ、そんな自分を、他者に誇示する傾向がある)点だと思います。

 

 だから、みね子に対しても、説教めいた話をしたくなり、「僕は、金持ちの大学生じゃない。島谷純一郎だ。君は、父親が失踪して、実家に仕送りをしなければいけない、可哀想な子ではない。谷田部みね子だ」と、興奮気味に語り出す訳ですが・・・それぞれの個性を尊重しているようで、実際は、ありのままの事実を受け入れられない人間の、現実逃避の話のように聞こえます。

 

 

 島谷は、デートの後、アパートの大家である富との会話の中で、彼女が、二人の交際を「身分違いの恋(そして、このような恋が存在する現実は、百年経っても変わらない)」と言った時、彼は、その意見を否定していましたが、「(みね子のことは)いつか、自分で、母親に話します」と、最後に言っていました・・・もし、彼が本当に、家柄や貧富の差などを気にしない人間なら、「いつか」ではなく、「すぐに」、母親でも父親でも、手紙や電話で、報告することが出来るはずなのですが・・・。

 

 

 このドラマの主人公・みね子の、人生初の恋愛らしい恋愛が、色々あったうえで、結婚まで辿り着くことになるのか?それとも、色々あったうえで、別れが訪れ、やがて、新しい恋人が出来るのか?

 

 どっちのパターンが来ても、作り手・受け手の好みがあるだけで、特に不可解ということはないので、視聴者が結果を推測するのは、丁半博打並みに難しい問題ですが、私個人としては、みね子と島谷のカップルは、別れる方に、賭けたいと思います。

 

 理由は、ひよっこの世界は、大きな揉め事が全くなく、小さな揉め事が起きても、あっと言う間に解決するというのが、これまでのパターンで、島谷家が、みね子のことで、揉めに揉めるというイメージが、あまり湧かないこと、かといって、みね子が、地方の名門一家に、すんなり、嫁として受け入れられる話では、ドラマにならないことを考えると、この恋の結末は、鈴子と富の老婆心コンビが、すでに予言している通り、上手くいく可能性が低いのかと・・・。

 

 更に、第16週「アイアイ傘とノック」の、みね子と島谷のイチャイチャぶりを見る限り、脚本家の岡田恵和氏は、みね子のイチャイチャ話、かなり、楽しんで書いているようなので・・・今度は、みね子を、別の男とイチャイチャさせてみよう、と考えていても、何の不思議もなく、彼女が島谷と別れて、新恋人と結婚し、岡田氏が、新婚旅行のイチャイチャ話だけで、数話分、時間を使ったとしても、特に、驚くべきことではないと思います。

 

 とはいえ、さすがに、みね子と新恋人のベッドシーンのみで、15分使うようだったら、驚かずには、いられませんけど・・・。