詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

わろてんか(第12回)、朝ドラ史上、最も軽んじられた、ヒロインの身内(兄・新一)の死!


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 NHK・朝の連続テレビ小説「わろてんか」の、第12回は、始まったと思ったら、いきなり、ヒロインのてんの兄・新一が、すでに亡くなっているという、視聴者を「1話、見逃したか?」と戸惑わせる、衝撃の急展開・・・その病名・死因は「かなり悪性の、ナレーション省略死」といったところでしょうか?

 

 てんと、妹のりんが、笑顔で「兄さん、今日は、かやくごはんどすえ」、「これ、うちが作ったんえ」と、当然、生きている新一に、話し掛けているものと思って、観ていたら・・・新一の遺影、仏壇、てんが線香あげてチーン、すかさず、ナレーションが「新一は、家族の笑顔に包まれ、静かに息を引き取りました」、お茶の間の視聴者に、セルフサービスで「笑ってたんかい!」と突っ込ませ・・・家族で食事シーン、「儀兵衛から、仏頂面取ったら、のっぺらぼうの話」で、どういう訳か、みんな爆笑、儀兵衛が「てん、お前は、思いっきり、笑うて生きるんや」と今更な話、そして、松たか子の主題歌が流れ、相変わらず、ハンカチはひょいとつかむし、パレードは回る・・・こんなブラックなオープニング、これまでの朝ドラの歴史にありました?

 

 これまで、このドラマのコメディー・センスと、ギャグの幼稚さについては、色々なレビュアーから、指摘され続けていましたが、ここに来て、「笑いの分かるヤツは、笑うだろう」といった感じの、超高度なブラック・ユーモアを披露・・・単に、笑いの分からない脚本家が、意図的ではなく、無意識にやっているだけ、というのが真相とはいえ、私は、初めて、わろてんかで、大笑いしてしまいました。

 

 

 それにしても、第11話に「儀兵衛の誤解自殺騒動」を挟まないで、てんと新一の会話と指切りの後、そのまま、第11話で新一が亡くなり・・・第12話の序盤は、暗い雰囲気の藤岡家、そんな中、消えた儀兵衛、「長男の死のショックで、まさか?」と心配する家族、で、あの例の騒動をやって、その後、藤岡家は、明るさを取り戻すのでした、という展開の方が、自然だったかと、私は思っています。

 

 また、新一の論文も、てんが遺品の中から見つけて、伊能に送るよりも、生前の新一が、自分で伊能製薬に「今後の藤岡屋の計画と方向性が、純粋に、投資価値があるかどうかを見極めて欲しい」と、手紙(論文)を送って、それが評価され、伊能がやって来た方が、死に逝く兄の置き土産として、より感動的だったかと・・・。

 

  ヒロインの兄が、放送わずか二週間で死、「ヒットの法則ばかり、気にしている」感じが強い、わろてんかのプロデューサーを始めとする、スタッフたちの「強烈な伊能様(高橋一生)推し」の反作用が、新一の早世と、彼を演じる、千葉雄大の早期退場を生み出したようですが、このことが、裏目に出てしまうことも、充分、あるような・・・。

 

 ま、千葉雄大の事務所の人たちは、「泥船(わろてんか)脱出、第1号!」と、喜んでいるのかも知れませんが・・・。

 

 

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  まだ、亡くなったばかりの、兄の遺影がある仏壇の前で、かやくごはんの話をしながら、何故か、満面の笑みになる、ホラーな姉妹・・・わろてんか、ちょっと、視点を変えるだけで、実は、かなり、笑えるドラマなのかも知れません。