わろてんか「だから、ネットで叩かれる!」
NHK・朝の連続テレビ小説「わろてんか」は、とにかく早い、ストーリー展開(例えば、若い二人が、寄席をやろうと思った、その一月後には、ハコを手に入れてしまうような展開)が、観る人によっては、ドラマチックに映り、そこが大きな魅力となっているらしく、視聴率の方も、常に20%前後と、安定していますが・・・反面、ネット上では、第1週から、今の今まで、常に、叩かれまくっています。
物語に進展がある(特に、ヒロインの目標が叶えられる)ことが、視聴率的に、プラスの作用をもたらす、これまでの朝ドラの傾向を踏まえ、ただの、あらすじになってしまっても、構わないかのような、制作サイド(脚本家)の方針によって、及第点の視聴率こそ、確保してはいるものの、これによって、失ったもの(最も、犠牲となっているもの)が、ヒロインてん(葵わかな)と、その夫となる藤吉(松坂桃李)の人気では、先が思いやられる話です。
この物語(てんと藤吉の人生)には、いかにもな、タニ(不幸や失敗)がある、ヤマ(幸福や成功)がある、ように見えますが、しかし、この二人の進む道は、自力で、谷を渡らず、山を登らず、常に、ロープウェー(他力)を使っているだけ・・・頂上で、二人が「やったー!」と大騒ぎしている場面ばかり、強調することで、その富裕なお気楽カップルぶりを、今は、ごまかすことが出来ていますが、この手法、あと、どれだけ、持つことやら・・・。
ロープウェーに乗って、山の頂上へ向かう人間を、わざわざ、応援する気にならない・・・逆に、「良い御身分だな」と、二人を叩きたくなる人が、ネットなどで、大勢、出てくるのは、全くもって、必然的な現象と言えるでしょう。
わろてんかの、取り敢えず、現状に変化(不幸と幸福)を散りばめ、話を急展開させて、視聴者の気を引こうという、露骨な視聴率戦略は、主人公クラスを駄目にしているだけではなく、多くの脇役たちも、「普段、何をしている人?」、「過去に何があった人?」という設定が、曖昧で、話に膨らみ(キャラクターに深み)がなく、ただただ、脚本家の、強引なストーリー運びと、取って付けたような(後から、辻褄を合わせにいったかのような)エピソード投入により、いわゆる、「キャラ変」を起こしている状態で、それを演じなければいけない、役者たちは、ちょっとした、混乱状態にある印象です。
中でも、厳しさと商才を兼ね備えた、筋の通った人物だったはずの、てんの父・儀兵衛と、藤吉の母・啄子は・・・偉そうで、我が子に甘いだけの、片方は、老舗の店を潰しかけた、もう、片方は、老舗の店を潰してしまった、無能な経営者へと、成り下がっています。
風鳥亭の元の持ち主だった、亀井も、儀兵衛や啄子のようなパターンの、キャラ変を起こしていますし、完全に、客寄せパンダ扱いの伊能(高橋一生)も、ストーリーに引っ張られる形で、キャラの一貫性を見失っており、こちらは、キャラ変というより、「変なキャラ」に、なりかけているようです。
また、このドラマの脚本家の吉田智子氏の、熟考しない、推敲しない、よく調べもしない、「書くのも、話の進め方も、スピード勝負」のスタイルは、「(脚本家が、ストーリーを進めるためなら)各キャラクターは、どこへでも行ける、誰とでも会える、何でも手に入る」という、「究極の、ドラマの御都合主義」を生み出しており、これも、ネット民たちの神経を、逆撫でし続けている、原因と言えるでしょう。
以上、「わろてんか、だから、ネットで叩かれる!」でした。
読者の皆さん、私の、つまらない小理屈、最後まで、お付き合い頂き、本当に、有り難うございました。
機会があれば、また、訪問してください。