詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

わろてんか(第80回~第81回)、関東大震災の話というより、記憶喪失者の話というより、いつも通りの、ズッコケ話!


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 NHK・朝の連続テレビ小説「わろてんか(第80回~第81回)」は、安来節乙女組の大流行もあり、大阪・演芸界のトップを走る、北村笑店は、次の目標として、寄席と芸人の、東京進出を考えていた・・・藤吉の東京への出張、彼は、手始めに、現地の寄席で、東京の芸人と、出演交渉をするが、あまり、良い返事はもらえなかった・・・そこへ、アメリカに行ったはずの、キースが現れて、藤吉は、彼の、今の生活や、今後の目標、彼の昔の相方・アサリの現状について、話をする・・・それから、しばらくして、大正12年9月1日、いわゆる関東大震災が発生、てんのところへ、新聞の号外を持った、亀井が、その惨状を知らせに来る・・・まだ、東京にいるかも知れない、藤吉のことを、皆で心配するが、彼は、被災することもなく、帰って来て、てんは安堵したものの、藤吉から、キースが、東京にいる話を聞き、驚く・・・キースの救出と、被災者へ救援物資を送ることを、提案するてん、東京へは、北村笑店・社長の藤吉ではなく、寄席を担っている芸人でもなく、独り身の大番頭・風太が向かうことになり、トキから、お守りをもらった彼は、俄然、気合いが入る・・・東京に到着した風太が、噂通りの、崩壊した街並みを歩きながら、キースを捜索、何とか、彼との再会を果す・・・風太の「大阪に帰れ」という言葉に、始めは、耳を貸さなかった、キースだったが、今、彼と生活を共にしている、東京のお母ちゃんともいうべき存在、志乃が、地震のショックで、記憶を失っているうえ、身寄りもないことから、一緒に、大阪へ連れて行くことを、決断する・・・無事、大阪に到着したキースと、志乃は、てんたちの歓迎を受ける中、そこへ現れた伊能が、志乃を見た直後、どういう訳か、平静を保てなくなる・・・という話なのですが、朝ドラで記憶喪失・・・私の記憶が確かならば、前作で、やったばかりのような・・・しかも、記憶を失った志乃の、住んでいる場所が、よりにもよって、向島って(他にも、芸者が居そうな場所は、東京に、いくつもあるはず、例えば、赤坂とか)・・・。

 

  そんな、「絶対、ひよっこの影響を受けてる!」と、視聴者に、指摘されることを恐れない、勇気ある集団が制作している、過去の朝ドラへの、オマージュ・ドラマ「わろてんか(第80回~第81回)」で、筆者が、気になったことについて、いくつか、指摘してみたいと思います。

 

 

 「実現こそしなかったものの、風太とトキに、ボウリング場で、デートをする予定が・・・この時代の大阪に、ボウリング場なんてあったのか、という議論は、さておいて、30過ぎた二人の恋が、小学生レベルから、中学生レベルに、昇格したことだけは、確か?」

 

「アサリの漫才の相方が、決まらない話、台詞だけじゃなくて、ちゃんと、エピソードも作るべきだったかと・・・例えば、岩さんと組んだものの、アサリ『アンタ、力があり過ぎて、突っ込みが、痛いねん!』という理由で、すぐに、コンビを解消するとか・・・アサリが、乙女組のとわに『安来節で、一生、食っていくのは、正直、無理やで、オレと一緒に、夫婦漫才やらへんか?ホンマに結婚しなくても、形だけでいいんや!』と頼み込んで、『絶対、嫌!』と断られるとか・・・」

 

「ウタコ・キチゾーの夫婦漫才が、大人気で、東京進出?じゃあ、歌子が経営する、朝ドラ史上、最低ネーミングの店『マンマン』は、どうなる?」

 

「伊能の『(チャリティーをやる理由)損して得とれの話』も、風太の『(救援物資を送る理由)一石二鳥の話』も、別に、問題のある台詞とは思わないが、出すタイミングに関しては、その後の『売名行為騒動』の時、伊能と、記者との論争の中で、『そういう側面も、あるかも知れないが』、と言い出す方が、良かったかと・・・そうじゃないと、『(人助けは)善意より、損得』という、NHKの朝ドラらしからぬ、イメージが、視聴者に・・・」

 

「東京に、たくさん、寄席は、あるだろうに、たまたま、藤吉が訪ねて行ったところと、キースが仕事をしていた場所が、同じ・・・凄い偶然?いや、わろてんかという、特殊なドラマにおいては、このくらいの偶然なら、大した、偶然ではない!」

 

「大阪の芸人仲間には、東京で、一旗揚げるまで、連絡をする気がなかった、キース・・・ところで、アメリカで、一旗揚げる話は、どうなった?そして、おそらく、今後、ドラマ上、大して、活かされることがないであろう、キースの渡米!」

 

「関東大震災の後、大阪に帰って来た、藤吉が『それより、大変や!東京に、キースがおるんや』という台詞の意味(『それ』が何を指しているか)に関して、穿った見方も出ているようですが、亀井あたりに『大将に、何かあったら、ワシら・・・』と言わせて、藤吉が『オレのことより、キースや!キースは、今、東京におるんや!』とやれば、妙な誤解を受けることも、なかったかと」

 

「キース救出と、救援物資の輸送のため、東京へ行くことになった、風太(濱田岳)・・・一人で、一体、どうやって?もしかして、CMをやっている、いっぱい、荷物が積めそうな、あのダイハツの車で?」

 

「どうでもいい話で、恐縮だが、伊能の会社・・・社員いた(今のところ、一人)!」

 

「今更、キースを、マザコンのように描くなら、彼が、天涯孤独の身で、親の愛情に飢えているというシーンを、ひとつや、ふたつ、挟んで置くべきだったかと・・・伊能とかぶってしまう?そう言われると、伊能の孤独の方も、描き切れているとは、言い難い」

 

「風太の『このへんで、偉そうな大阪弁、喋るやつ、知りまへんか?』、少なくとも、視聴者は、みんな知ってる・・・お前だ!」

 

「このドラマでは、東京~大阪間が、感覚的に、近過ぎる?時代考証なんて、脚本家も、制作統括も、全く、気にしていないから、東京~大阪間に、リニア・モーターカーが走っているという、大胆設定なのでは?」

 

「伊能が(自分は、役所の手続きで、手間取っているのに)、いち早く、被災者へと、救援物資を届けた、藤吉たちに、感心・・・普通、逆では?元は、貿易会社の社長だった、伊能の方が、輸送船にツテがあって、北村笑店で集めたものを、船で運んでやる方が、自然かと」

 

「電話が繋がるようになり、キースの無事を伝える、風太が、左手に怪我・・・もちろん、いつものように、台詞だけ、怪我をした時のシーンはなし」

 

「志乃の記憶喪失・・・前作『ひよっこ』でやったばかりなのに、視聴率的には、プラスだったかも知れないが、ファンも含めて、必ずしも、好評ではなかったものを、ここ(関東大震災)で・・・このドラマの脚本家の吉田智子氏は、本当に、勇気がある・・・しかし、残念ながら、彼女には、記憶喪失という、難しい素材を、関東大震災という皿の上にのせて、料理してみせるだけの、センスがない!」

 

 

  史実エピソードの中の、重要なカード「関東大震災」に、もはや、朝ドラの伝家の宝刀とも言える、「記憶喪失」を加え、人気者・伊能(高橋一生)が、主役になる話を展開するのは、視聴率戦略上、巧いやり方なのかも知れませんが・・・残念ながら、いつも通りの、思わず、視聴者がズッコケる、あり得ないシーンの連続で、実際、視聴率的にも、通常と、大差はないようです。

 

 結局、視聴率稼ぎのために、脚本家が、色々と、考えてみたところで、「わろてんかは、わろてんかでしかない!」ということなのでしょうか?