2018年・冬ドラマ(10作品)の第一印象を、数行で批評します!
2018年・冬ドラマの中で、筆者が、1話・2話と観たもの(3話観たものもありますし、帯ドラマは、もっと観ています)を10作品、その印象について、数行ほど語り、最後に、そのドラマのおすすめ度を、100点満点で表します。
あくまで、ドラマ序盤の評価です。筆者の見る目がなく、「面白い!」と勧めたものが、その後、駄目になったり、「つまらない!」と否定したものが、その後、良くなったり、ということも、充分、考えられますので、その時は、ご容赦ください。
NHK「西郷どん」
このドラマの制作陣は、この時代の日本を、あるいは、西郷隆盛を、良く描こうと考えているのではなく、悪く描こうと考えているのでもなく、客観的に描こうと考えているのでもなく、「純粋に、ドラマとして、面白くすることを、第一に考えている」、その心意気が、画面から、ひしひしと伝わってくる、良いドラマだと思います。
脚本に軽薄なところがなく、堅実・・・飽きさせない、動きのある演出・・・オープニング曲も、西田敏行の語りも良い・・・キャストも、主演の鈴木亮平を始め、瑛太、黒木華、渡辺謙、風間杜夫、沢村一樹と、大河ドラマらしく、豪華なうえに、適材適所を考えた布陣・・・筆者が、第3話まで、観た限りでは、アラらしいアラは、発見出来ませんでした・・・筆者は、久し振りに、NHKの大河ドラマというもの(西郷どん)を、最後まで、視聴してみようと思っています。
〈筆者のおすすめ度 88点〉
テレビ朝日「越路吹雪物語」
とにかく、1話ごとのエピソードの内容が、ちゃんと、視聴者の頭の中に入る、今時、珍しいドラマで(もちろん、誉め言葉)、なおかつ、ただの1話勝負ではなく、週の連なりも、きちんと、計算がされているようです。
主人公の越路吹雪の子供時代(性格描写)も、魅力的に描けているし、泣けるシーンも、笑えるシーンもあり、全てがソツなく整理され、上手に、まとまっている印象です。
ただ、長丁場の帯ドラマだけに、今の良い感じで、最後まで、まとめきることは、至難の業でしょう。
「越路吹雪物語、スタート・ダッシュだけは、成功していたのに」と、ならないように、筆者も、願っています。
〈筆者のおすすめ度 78点〉
日本テレビ「anone」
このドラマの主人公は、「広瀬すずではなく、脚本家なのではないか?」と思えるほど、「ひょんなことから」ばっかりの、やりたい放題な脚本・・・しかし、第1話で、「このドラマは、現代社会を舞台にした、ファンタジーです」と、さんざん、断っているに近いシーンが、複数、織り込まれているので、どんな強引な展開になっても、案外、違和感なく、観ていられます。
ただし、第1話の段階で、「何もかもが、ただ、意味ありげなだけで、本当は、中身なんてない、センス自慢のハッタリ・ドラマ」と、早々、視聴離脱をする人がいても、全く不思議ではない、作品であることも事実かと・・・。
このドラマの脚本家は、力量不足で、「何でもありの展開」をしているのではなく、むしろ、自信(力量)があるから、何でもありの自由な展開の中、自分の想像力を試しているように感じます。演出家も、そういう脚本家の姿勢に、理解のある人物のようです。
筆者が思うに、面白いドラマというよりは、「気になってしまうドラマ、論じてみたくなるドラマ」といった感じがします。
〈筆者のおすすめ度 77点〉
日本テレビ「もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~」
第1回を観る前は、予想だにしなかった、「コメディー・タッチならぬ、完全コメディー!」 、肝心の笑いの質に関しては、空回りしている部分もあるものの、制作側のチャレンジ精神が感じられて、好感が持てます。
今後、このドラマのパターンや、各登場人物の個性や関係性が、視聴者に浸透していけば、もっと、面白くなる可能性もありますが、現時点では、及第点レベルといったところでしょうか?
個人的には、主人公の姉役の波瑠が、一番、コメディーに向いていて、キャラ的にも、一番、面白い存在かと思います。
最後に、どうでもいい話になりますが、第1話の、主人公の父(中村梅雀)が、本気で愛していたにも関わらず、突如、恐喝してきた女を演じたのが、磯山さやかで、42歳の子持ちという設定は、凄く面白かったです。
〈筆者のおすすめ度 68点〉
テレビ朝日「BG~身辺警護人~」
あのキムタクが主演で、周囲を固めるキャストも豪華で、ゲストも、毎週、旬な人や、実力派がやって来る・・・高視聴率が約束された、失敗するはずのない作品ですが、その内容自体は、お世辞にも、高尚なものとは言い難い、かなり、単純な「キムタク・ショー」でしかないようです。
キムタクが、仲間に、ヒロインに、子供に、あらゆる人たちに、「キムタクらしい台詞」を言うだけで、それに加えて、キムタクらしい、しぐさが、散見されるだけで・・・脚本や演出の、あらゆるアラは、きっと、ごまかされてしまうでしょう。
正直、置きにいっただけで(キムタク・ショーの舞台を整えただけで)、斬新さみたいなものは、全くないドラマですが・・・キムタク・ブランドが健在な限りは、別に、それでいいのかも知れません。
実際、キムタク・ショーは、ファンじゃなくとも(筆者であっても)、充分、楽しめるものですから・・・。
〈筆者のおすすめ度 60点〉
フジテレビ「海月姫」
筆者は、原作の漫画を読んだことはないですが、「きっと、センスの良いものなのだろう」という感じは、このドラマからも、やんわり、伝わってはくるものの、実写化に成功しているとは言い難く・・・成功したところで、老若男女を取り込めるような作風ではなく、「月9」という、局を代表する、かつてのブランド枠で、視聴率10%狙いのドラマを持ってくるのは、如何なものかと・・・また、もし、このドラマが、視聴率15%~20%も狙えるつもりで、制作しているのだとしたら、やっぱり、フジテレビのドラマ関係者は、世間の噂通り、現代の感覚から取り残されてしまった、ピントがズレた集団と言って、いいのかも知れません。
〈筆者のおすすめ度 55点〉
フジテレビ「FINAL CUT」
第1話、第2話を観れば、この作品が、いかにもな「B級ドラマ」であることは、ハッキリしているので、いちいち、あり得ない点を突っ込むよりも、どういう展開で、「これがあなたの、ファイナルカットです」と、オチがつくのかを、素直に楽しむことが、妥当な鑑賞姿勢かと思います。
個人的には、藤木直人演じる百々瀬塁が、なかなかのヘンテコ・キャラなので、もっと、もっと、彼のエキセントリックなシーンが出てくることを、望んでいます。
あと、「突っ込むな」と言いながら、突っ込んでしまいますが、「主人公に、ファイナルカットされた人たち、その後、普通に生活してるし、握られた秘密も、『開き直ってしまえば?』と言いたくなるレベル・・・」、このドラマのテーマは、復讐劇と言っても、かなりライトな印象です。
主人公も、暗い過去を背負っている割には、ちゃんと、恋愛してるし(しかも、美人姉妹と三角関係になるほど、モテモテ)・・・。
〈筆者のおすすめ度 50点〉
日本テレビ「トドメの接吻」
この作品が、第1回を観ても、第2回を観ても、あまり面白く感じないのは、「人生をやり直すなんて(タイムリープなんてあったところで)、意味がない(虚しい)」ということを、少なくとも、大人の視聴者は、みんな、分かっているからでしょうか?
大人の、というより、普通の視聴者は「どうせ、タイムリープするんでしょ?」と思いながら観るので、主人公に、どんなピンチがやってきても、大して、ドキドキ・ハラハラすることは、ないような気がします。
筆者は、SFチックな話が、あまり好きではないので、評価は低めですが、「アイディア勝負+山崎賢人、新田真剣佑、菅田将暉ファンのための、アイドル・ドラマ」と解釈すれば、及第点以上の作品と言えるのかも知れません。
〈筆者のおすすめ度 48点〉
BSジャパン「三島由紀夫・原作~命売ります~」
どんなに不道徳を気取っても、つい、生真面目さが出てしまう、三島作品における、リアリティー度外視の、エンターテインメント重視小説の、最高傑作が「美しい星」だとしたら、この「命売ります」は、彼の中で、最低の失敗作の部類・・・今更、ドラマ化する意味が分かりません。
誰の言葉かは忘れましたが、「三島は、小説より、戯曲が面白い、戯曲より、随筆が面白い、随筆より、評論が面白い、評論より、三島の人生そのものが面白い」というものがありますが、どうせ、三島由紀夫を再評価するなら、彼の作品の最高傑作である、「彼自身の人生」の方を、ドラマ化して欲しかった気がします。
尤も、三島の人生は、ドラマチック過ぎて、史実なのに、「逆に、嘘っぽくなってしまう」ことが、大きな難点ではありますが・・・。
〈筆者のおすすめ度 45点〉
テレビ東京「オー・マイ・ジャンプ~少年ジャンプが地球を救う~」
今現在、少年ジャンプを読んでいる人も、昔は、読んでいた人も、誰がどう観ても、面白いはずがない、深夜だからと許してはいけない、ドラマとして、最低レベルの仕上がり・・・地球を救う前に、せっかくの創刊50周年記念企画が、こんなことになってしまった、集英社こそ、まず、救われるべきでしょう。
記念ドラマを制作するなら、普通に、各時代の、人気漫画家や、その担当編集者の史実エピソードを、ドラマ化するだけで良かったと思います。
〈筆者のおすすめ度 30点〉
読者の皆さん、「2018年・冬ドラマ(10作品)の第一印象を、数行で批評します!」、楽しんで頂けたでしょうか?
ここで断るまでもなく、この記事で語られた、ドラマの評価の良し悪しは、完全に、筆者の個人的好みによるもので・・・なおかつ、世の中に対して、筆者は、何の影響力もありません。好きなドラマや、役者を批判されたからといって、興奮なさらずに、「バカが、バカなりに、何か言ってる」と、苦笑しながら読んでもらえたら、それが何よりです。
それでは、読者の皆さん、筆者の、愚にもつかない、結構な長文、最後まで、お付き合い頂き、本当に、有り難うございました。
機会があれば、また、訪問してください。