詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

九十六歳・認知症の祖母、「庭中、猫だらけで、餌が足りない」と、頭を抱える

 

 今日もまた、私の九十六歳の祖母の話をします。興味のない方、遠慮なく、読み飛ばしてください。

 

 私の祖母は、認知症の進行が止まらない、というより、既に幻聴と幻覚に関しては、ゴールに到着している感じなのですが、まだ、自分で、ものを食べたり、トイレに行ったりするだけ、介護する方も、有り難いと思うべきなのかも知れません。

 

 祖母は、かなり足腰が弱ってきているので、家の庭には出ても、道路の方までは出ませんし、身内の年寄りの徘徊で悩んでいるような人たちと比べれば、認知症の老人介護といっても、私の方は楽なものです。

 

 そんな、ボケてはいても、大した負担でもない、私の祖母ですが、今日もしっかり、幻聴を聞き、幻覚を見ています。

 

 これは、私と祖母が、午前中、縁側でお茶を飲んでいた時の会話です。

 

祖母「大変だ!庭に猫がいる!」

私「大変じゃない。いつも四、五匹いる」

祖母「四、五匹どころじゃない。百匹はいる。いや、もっといる」 

私「いる訳ない」

祖母「確かにいる。みんなケンカしている。うるさくて仕方ない」

私「私には、何も聞こえないけど」

祖母「この鳴き声が?お前は、今すぐ耳鼻科に行った方がいいね」

私「・・・・・・」

祖母「それにしても、困った」

私「何が?」

祖母「餌が足りない」

私「・・・だろうね」

祖母「ケンカに勝った猫にだけあげようか?」

私「それでいいんじゃない?」

 

 しばらくして、私が「猫のケンカはどうなった?」と祖母に訊くと、「どうもならない。勝ち負けがつかないまま、みんな自分の家に帰ったよ。だから私は、餌をあげ損なってしまった。餌をくれない家には、もう、誰も寄りつかないだろう」と祖母は、いかにも残念そうな顔をして、答えました。

 

 私は、猫が寄りつかないどころか、近日中にも、「大変だ!庭中、猫だらけだ!千匹はいる!」と、再び、祖母が大騒ぎしそうな気がして、仕方ないんですが・・・。 

 


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