詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

2016-09-05から1日間の記事一覧

ある山中の村の掟

疲れて、脚が棒になった男は 両手を広げさせられ 針金で固定され 案山子のようにされ 山の畑に立たされ 野ざらしにされ まるで、鳥葬と変わらない そして、数日後 見るも無惨な姿になる その山の畑には 何体もの、案山子にされた 脚が棒になった男たちがいて…

生まれ変わったら、先端恐怖症

私は不条理にも ボールと化していた 知らない誰かに 高い場所から落とされて ピョンピョン、ピョンピョン 跳ね回っていた 爽快である ボール冥利に尽きるとは まさに、このことである しかし、それも束の間の幸福で 何か尖ったものが 私の中心に、突き刺さっ…

塔を支える原理

古くて細いが、かなり高い この土地の象徴的な塔がある 中に入れる訳ではなく 外をよじ登れる訳でもなく 何か実用的な意味がある訳でもないが あっちこっちから、観光客は集まった 人けのない、月夜の晩に 一人の酔った青年が、塔に訊いた 「おーい、塔よ お…

門がある、かなり大きい 門番がいる、かなり大きい しかも、左右に1人ずつ 私は、門をくぐりたい とにかく、中が見たくて仕方ない だから、二人の門番をけしかけて 仲違いをさせてみた 予想以上の、激しい殴り合いが 延々と、十分以上続いた やがて、右の門…

魔性のランプ

さみしいランプに 一匹の蛾が、恋をした 蛾は、ランプの周囲を飛びながら 彼女に、「好きだ」と告白をした さみしいランプは、沈黙を守った その態度に、蛾は堪らず 彼女に向かって、体をぶつけた ボッと、火が点いた 蛾は、チリチリと音をたて 床に落ち、灰…

薔薇が咲いた

雨が降る中 庭園の薔薇が 蕾ながらに 考え事をしていた 不意に、答えが出た 蕾が、パッと開いた その瞬間、答えを忘れてしまった 雨が、強くなった 風も、強くなった 水も滴る、赤い薔薇が 艶かしい姿で、揺れている 「恥ずかしい」と、薔薇は思っていた そ…

月と星とピアニスト

深夜、ある一流ピアニストが 両手で鍵盤を、思いっきり叩いたら ジャーンと、大きな音がして 夜空の星が、全て墜ちました 月だけが残されて ずっと、泣いていました そして、ピアニストは 月しかない、夜空を見つめて その罪深さに失神し そのまま、気が触れ…