詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

宿命について、叩く女、叩かれる男

ハンマー女と石男 追われる石男 追うハンマー女 つまずく石男 ここぞばかり、ハンマーを振る ハンマー女 別のハンマー女も 応援にやって来た 「叩くって、健康!」 「ああ、石が割れるって、快感!」 石男は、完全に粉砕され 大量の石ころとなった 「○○地区…

人生を変える出会い

小さい鬼がいた 彼は、赤鬼だった 頭にツノが、二本生えていた 髪の毛は、モジャモジャだった 顔は、鋭い目つきに、鋭い牙 上半身は裸で、金棒を持ち 虎皮の腰巻きをしていた それは、いかにも典型的な 日本の鬼のスタイルだったが 背丈は、二十センチしかな…

本体をたずねて完全に

何らかの獣の尻尾が 「本体はどこ?本体を見つけて!」 と、連呼しながら、さまよっている その姿が、あまりに痛々しかったので 思わず私が、「ここだ!」と嘘をついたら 「本当ですか?」 と、尻尾は疑っている様子 「いや、実際は違う でも、今日から私が…

やや迷惑、とはいえ、邪険にも出来ない

ある事情により 骨抜きにされ、骨なしになって 自力では、歩くことも 起き上がることも、出来なくなった 私の兄は、今日も 三人がけのソファーに寝そべり 人間の心の闇 自然の非情さ 神への皮肉 世の中の俗悪さ加減、等について 熱心に、なおかつ、酷い滑舌…

恋愛対談、恋多き氷女の赤裸々話

氷女同士で 夏、水着姿の氷女が二人 プールサイドで、恋愛について 語り合っていた 「未だかつて、私を愛して キスして、抱擁して、溶かして ただの水に出来そうな男なんて いなかったわ」 「みんな、いやらしい手で ちょっと、触るだけ」 「あっ、冷たい、…

真昼の幽霊

ひとりぼっちの、美しい少女 永遠に、微笑し続ける、だけの 真昼の・・・幽霊 太陽の光を気にして、木陰から出ず 病院の、人の行き来を眺めながら 退屈そうに、あくびをする この世に、未練があるとは、思えない とにかく、無邪気な、真昼の・・・幽霊 好き…

赤ちゃんのあやし方、鉄製の場合

鉄で出来た赤ちゃんは 「高い高い」しちゃ、駄目なんです 「重いなあ」って 顔をするから、傷付くんです 鉄で出来た赤ちゃんは 「硬い、硬い」しなきゃ、駄目なんです 素手で? 違います 素手では、叩く側が 「痛そうだなあ」って 顔をするから、傷付くんで…

可哀想な錆びたロボット

錆びたロボットは ギイギイと、音をたてながら ぎこちない動きで、街を歩き 手当たり次第、誰に会っても 「錆を取ってください」 と、頼むのだが、みんなに断られ続け ついに、錆で動かなくなった 公園のベンチに座ったまま オブジェのように、静止している …

加害者ではある、しかし、どこまで責任があるのか?

ネズミ捕りが ネズミを、バチンと 抑えつけた ネズミは、もう、動けない 口から、血が滴っている ネズミ捕りは かなり、動揺しながら言った 「もっと、嬉しいものかと思っていたが うしろめたいばかりだ」 ネズミは、最期の力を、ふり絞って言った 「これな…

モテない理由、外見のせい、という言い訳

ある外見がイマイチで、モテない美大生が 格好良い自画像を書いたら 自分自身まで、格好良くなっていた お蔭で、人生初の彼女が出来た しかし、残念ながら、顔はブスだった ブスの彼女をモデルに 本人とは、似ても似つかない 美しい肖像画を描いたら 彼女は…

番号で呼び合う関係 三篇

一号の指令と十三号 行け、十三号! もう、十二号のことは忘れろ! しっかり、十四号のことを追え! 十三号! 十二号がいてくれたら・・・なんて 二度と、弱音を吐くな! 十三号! 早く、十四号のことを捕まえるんだ! 十五号に遅れをとってはならない! 十…

半猫人、自信喪失中

半猫人は、顔こそ人間だが 猫の耳と、ヒゲがついている 手と足は人間だが、それ以外は猫で 当然、毛むくじゃら 四つん這いで歩き、尻尾もついている 半猫人は、知らない家を訪問して 「一匹百円で、鼠捕りますけど どうでしょう?」 と、営業活動するが 「鼠…

猟奇的殺人事件、妻を殺した男の告白

妻は、氷のように冷たい女 というより、氷の女でした 私が愛すれば愛するほど 妻の身体は、徐々に、溶けていきました 妻は、私に抱かれながら 突然、「もう、触らないで!」 と、大声で拒絶しました 私は、怒りました おそらく、狂ってもいました 急いで、私…

死への誘い、という名の合唱曲

美しい少女が 部屋のあちこちに現れて みんなで、合唱を始めた それは、聴いたことのない歌だったが 不思議と何だか、懐かしい 「ああ、大勢の少女たちが、私のために 素晴らしい合唱を、披露してくれている 有り難いな」 私は、何故か、この部屋に集合して…

ある異色の曲芸師、ピエロのゾンビ

ピエロのゾンビ、玉乗りをする ピエロのゾンビは 見た目も凄いが、異臭も凄い 全身に、蝿がたかっている しかし、見世物として 大衆の目をひくらしく かなり、遠巻きだが 結構、人は集まる ピエロのゾンビが 玉乗りに挑戦する 大体、約三十秒くらいは 上手く…

マトリョーシカ

全ては夢 良い夢も 悪い夢も ただの夢 何度、夢から覚めても 再び、夢 とにかく、目が覚めたと思ったら それは夢 何度、起きても、夢の続き 全ては夢 良い夢も 悪い夢も ただの夢 まるで、マトリョーシカ? それは、間違った喩え どうやら、私は 永遠に 現実…

禁句、親しき仲にも礼儀あり

ある霊園では 夜になると 一体のゾンビが 墓場から這い上がり 話し相手を探しに 周辺をさまよい歩く 寂しかったのだろう かなり、長い間、話をする 実は、話術が巧みである 性格も陽気で、親しみやすい しかし、訊いてはならない質問がある 「どうして、火葬…

三親等・四親等の人もいたそうです

見知らぬ幽霊がいた Aさんに紹介した Bさんに紹介した Cさんに紹介した 誰にとっても、見知らぬ幽霊だった 意地になって、あと百人に紹介した やっぱり、誰も知らないという 外国人なのだろうか? そう思って、国籍問わず、千人に紹介した やっぱり、誰も…

喧嘩の絶えない夫婦

金吹き女は 世界を美しくするために 口から、金の塗料を吹いて あっちこっち、金色に染めてしまう その夫である、金拭き男は 自然のままが、何より美しい と、我が妻が金色に染めたものを 雑巾で拭いて、元に戻してしまう 当然、毎日が喧嘩 そもそも、こんな…

隠し味は魂

妖怪キノコ人間は 決して、悪い妖怪ではない その姿こそ あらゆる種類の茸が固まって 人の形になっていて、気味が悪いが 心は、自己犠牲の精神に満ちている 勝手に、他人の家の 浴室に忍び込んで 浴槽をきれいに掃除し 熱湯を注ぎ、自分が入り フタを閉める …

夢で会いましょう

目が覚めた、誰もいない 取り敢えず、再び、眠った 夢の中で、たくさんの人と出会ったけど 死んだはずの人とまで、出会ったけど 目が覚めたら、誰もいない 寂しいから、眠ることにしたが もう、たっぷり、睡眠しているので なかなか、寝つけなかった 家の外…

失われた帰巣本能

帰らない、帰らない 誰も帰らない とにかく誰も、帰らないから 街中、どこも、人だらけ 帰らない、帰らない、帰らないので ただいまも、おかえりも 死語となってる 帰らない、帰らない、帰らないでいい 疲れたら、その場で、横になるだけ 帰らない、帰らない…

墜落したら、満月のせい

満月の夜 星空から 縄梯子が 降りて来る 昇ってみようと 足をかけたら ゆっくり、縄梯子が 引き上げられてゆく どこまでも、どこまでも 引き上げられて とうとう、月までやって来た 満月は言った 「どう?私、輝いてる?」 「はい」と答えたら 「よろしい」…

ところで貴方は、泥女派?土女派?

いやらしい男たちが 裸の泥女を囲んで 必死に、息を吹きかけている 泥女を乾燥させて 土女にしようって、魂胆だ 泥女より、土女の方が、好みなのだ その、すぐ隣では、別の いやらしい男たちが 裸の土女を囲んで 必死に唾を吐きかけている 土女を水浸しにし…

少女は、追放された、私のせいで

人口のほぼ全てが、泣き女の部落で 一人、か弱い少女がいて 私が懸命に慰めてあげたら 何とか泣きやんで、次第に笑顔になった 私は、実に良いことをした と、内心、自画自賛していたが 少女は、他の泣き女たちに 笑顔の姿を発見され、写真まで撮られて 部落…

猫に尿などかけるべからず

猫に小便をかけると ちんちんが (ちんちんというのは、陰茎を 子供風に、言い替えた訳ですが) 猫の足のようになります 子作りなどに、支障が出ることは 医師に相談するまでもありません 普通に排尿するのも、ひと苦労で 尿が肉球から、滲むように出て とに…

チョコ男の甘くない日常、銀紙はがされ、神に問う

私は、チョコで出来ている だから、甘いもの好きの女に 背後から襲われ、捕獲されてしまった 銀紙で出来た服を脱がされ 上半身を裸にされ 胸のあたりを噛みつかれた 他の女たちも、続々と集まって来た みんな馬鹿みたいに ワーキャー、騒いでいる このままだ…

壁を論じて、私を知る

壁、叩いても、擦っても 接吻しても、それは、壁 いつも、無反応 私の進行方向を、邪魔している 方向転換した 数歩進んだ、壁 蹴っても、息を吹きかけても 握手を求めても、それは、ただの壁 いつも、無反応 私の進行方向を、邪魔している 右を向いた、壁 左…

働き者の工場

工場が、商品を作っていた 工場長、その他の社員は、外にいた それでも、工場は、懸命に働いていた 工場長は、工場に質問した 「今、何をどれだけ作っているんだ?」 「教えない」 工場長は笑顔で、他の社員たちに 「な?俺だって、何も知らないんだ」 と、…

自殺男と発狂女

自殺男は、その名の通り すでに死んでいる もう、白骨化してから かなりの時間が経過している 遺書はあったが まだ、誰も読んでいない 発狂女は、自殺男の恋人である 彼の自殺の第一発見者であり そのままショックで 頭がおかしくなってしまった 発狂女は、…