詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

天使、降格し、死神になる

ある時、一人の天使が 神様に呼び出され 「君、今日から、死神だから」 と、降格人事といえる、辞令を受けた 死神は、本当に嫌な仕事である 人間の、生きるか、死ぬかは 神様の気紛れに過ぎないのに 現場に直接行って 実際、命を奪うのは 死神なのだから 当…

何故、タコの足は八本か?

昔、タコといえば 八本足と、十六本足が 半々でした しかし、足十六本タコの方が 人間の漁師にとって 捕獲の労力が同じ割に 食い応えが二倍ということで 彼らは、日々、乱獲され続け やがて、絶滅してしまいました また、少数派ですが 足十六本タコを上回る …

虚無の運命、死刑と輪廻、その意味、その答え

虚無は、虚無であるがゆえ 罪とされ、死刑となった 虚無は、虚無であるがゆえ 何の抵抗も、反論もせず 熱狂する、民衆の前で 無惨に、吊し上げられ、殺された 虚無は、生まれ変わった そして、より大きな、虚無となった せっかく、生まれ変わったところで 当…

その蟹は、ダンディーではない

口髭蟹は、とても偉そう 目の下に、八の字の 立派な髭があるからといって ダンディーを気取り 鋏で器用に、葉巻をつかんで 「コイツだけは、やめられない」 という、顔をして見せる 拾った葉巻の癖に 握力が弱いから 重くて震えている癖に 火なんか点けられ…

もう、お前とは遊ばない

同じ体格をした イカとタコが お互いの脚を絡ませ 力比べをした タコが、やや優勢だった しかし、イカが 二本、余った脚を使い タコに、目潰し攻撃をしたので イカが盛り返した やがて、タコが涙を流して 「もう、負けでいい」 と、ギブアップをした 約束通…

その蛙、アルコールの塊

酒蛙の体は小さい 酒蛙の色は赤い 酒蛙の息は、アルコール臭い 酒蛙が食べるのは、米か麦 それを体内で発酵させる 熟成してきたら、ちょっと吐いて 再び、口に含んで じっくり、味見する ちゃんと、酒になっていたら 葉っぱの器に、それを口から注いで 長時…

病弱天使の秘めた才能

病弱天使は ほぼ、寝た切りで いつも薬が、手放せない 翼なんか、もう、ずっと 広げたこともなく ただ、重くて邪魔なだけ 寒い季節になって来ると 病弱天使は、微熱、高熱、繰返しながら 咳ばかりしている 血も吐く、時には、大量に 神様に、「健康にしてく…

存在と不安、神の嘔吐が止まらない

ある天使が とにかく、酷い殺され方をして 変死体となり、発見された それを見た神様が 「死ぬ訳ないんだ この天使は、まだまだ 死なないように、なっていたんだ」 と、頭を抱えながら言った そして、神様は 急いで自宅へと戻り 独り、寝室で布団をかぶって …

タコの賭博者、全てを失い、丸くなる

タコの賭博者は 海中のヤクザ者たちと 丁半博打をして 全財産を、失ってしまった よせばいいのに 自分の脚を一本 ちぎって、賭けた 負けた 立て続けに、八回 見事に、負けた こうして、タコの賭博者は 脚のない、不気味な、丸い生き物になった 「次は、命を…

私の、ビールの泡のような、人生

私は、ついに 「永遠」を発見し 捕らえて、縄で縛り 檻に入れて、鍵を掛け 自分のものにした 永遠は、かなり 恥ずかしそうな表情をしていた そんな永遠の姿を眺めながら 私は、一人、ビールで祝杯を挙げた しかし、残念なことに 私の寿命では、この永遠が 本…

コーヒータイム、神への感謝が足りない私

やっと、やるべき仕事を終え 区切りを付けた私は 休憩を取ることにした 神が、コーヒーを煎れてくれた それを天使が、慎重に運んで来た 「ぬるい、これは飲みたくない」 と、私はワガママを言った 天使は、何も言わずに カップのコーヒーを 地面に捨ててから…

海月にとって、超一流の定義とは?

超一流のクラゲは 海中で、ユラユラ、揺れながら 自分の存在を忘れるくらい 一心に、ユラユラ、ユラユラ、揺れながら やがて、海と一緒になって 肉体は消えても、魂だけ残り もう、落ち着いて、揺れもせず 百年でも、千年でも 生き続けるものである 色であっ…

念仏蝸牛、有り難や、有り難や

念仏蝸牛が 窓ガラスなどを 這って歩くと 通り道に、うっすら 「南無阿弥陀仏」 と、跡が残る その文字が、陽光に照らされると 誰もがみんな、有り難い、何かを感じて 思わず、合掌してしまい 拭き掃除する気など、無くなってしまう ちなみに、念仏蝸牛は 前…

蛙の合唱隊~少数精鋭の理由~

蛙の合唱隊 たった、三匹しかいない いつも、紫陽花の葉の上で練習 人間の家の、窓サッシにへばりついて 本番のコンサート 家の中にいる人間たちは、たいがい 「蛙のうるさい、季節になったな」 と、感想を漏らすだけなのに それを外から見ている、蛙の合唱…

確認することの重要性について

コップに、強力炭酸水を注いだ 小さな、青い、魚を入れた 氷の代わりに、二匹入れた 青い魚は、混乱していた コップの中で、暴れ回り やがて疲れて、動きも鈍くなり 二匹は向かい合い、ぶつかって そのまま力尽き、微動だにしない 青い魚は、二匹とも死んだ …

子供の頃の思い出~昔の方が良かった~

月の子供が三人で 素早く、地上へ降りて来て 仲良く、手を繋ぎ そろり、そろりと 灰色のブロック塀に 背中をつけながら、路地を歩く 長男の月太郎は言う 「人間に見つかったら、ヤバイよ」 次男の月二郎は答える 「うん、もう、喋らない方がいい」 三男の月…

ウゾウムゾウ

ウゾウは、ムゾウと 縁を切りたかった ムゾウは 馬鹿だし、醜いし 無礼だし、ケチだし 臭うし、嘘をつくし 理不尽だし、暴力的だし とにかく、ウゾウは ムゾウが、大嫌いだった ある日、ウゾウは、堪え切れず ムゾウに対して、本音を爆発させ 罵詈雑言を浴び…

幸せにしてくれた、青い鳥

チルチルとミチルは 一般並みに、名字が欲しくなって 結婚相手を探しに、旅へ出ました しかし、国中を歩き回っても 「名字もないような 得体の知れない者と 結婚なんて出来ない」 と、断られるばかりでした 人によっては 「身分が違う!」 と、二人を差別す…

神様を目撃した話

飛行機に乗っていた 窓の外を眺めていた 大勢の天使が 胸にゼッケンを付けて 空中マラソン大会をしていた もちろん、私がこんな光景を見たのは 生まれて初めてだった 取り敢えず、隣の席の人にも 教えてあげようとしたが 安眠している様子だったので、諦めて…

沈黙は金ではない

カエルたちが ミミズを使って 綱引きをしている そこに、ミミズの意志はない 彼は、いつも無表情だから どうしても、こんな扱いを受ける 身体が、ちぎれそうに痛いのに 何も言わず、耐えている カエルたちが ミミズの苦痛に気付いたのか? 綱引きをやめた そ…

因果応報、この世の摂理、そこに神の意思は介在するのか?

今、お前が苛めている猫は お前の祖先の生まれ変わりである お前は、お前の意志で その猫を苛めていると思っているようだが そうではない、お前の祖先が この世の摂理から、罰を受けているのである お前は、知らず知らず 刑の執行人をやらされているのである…

絶滅危惧種、無防備蟹

無防備蟹は 名前の通り とても、無防備 左右の爪は 蕾のように、開かないし 甲羅は透明で、ビニール状 触ると、とても柔らかい 「餌をあげるよ」 と、手招きすれば 警戒心などないから 「どうも、すみませんね」 といった感じで こっちにやって来る 捕まえて…

第一印象で判断するべからず

大きな穴がある庭 初訪問の人が、よく落ちる まさか、玄関前に 直径五メートル 深さ五メートルの穴があるとは 誰も思わないから 誰かが穴に落ちると、家の主人が出て来て 「どうしました?」と、白々しいことを言う 「どうしたも、こうしたも、なぜ こんなと…

天使を、猟師が、鉄砲で撃ってさ

天使が、いっぱい、飛んでいた 猟銃で一人、私が撃ち殺した 記念に、死体を持ち帰ろうとしたら 怒った仲間の天使たちが 凄い勢いで、こっちに飛んで来た 躊躇らうことなく、威嚇射撃をする 慌てて、遠くへ逃げて行く、天使の群れ 現在、天使の死体は剥製とな…

この世の始まりに関する神話

私は、人類の、いや 全ての地球上の生き物の犠牲となり 自らの意志で、虫けらとなった 人間の、どんな聖者も 私と比べれば ただの聖者気取りである とにかく私は、何事も、怖れない 何度でも宣言しよう とにかく私は、怖れない、何事も 潰すがいい、食すがい…

レアケースなひきこもりの切っ掛け

電柱に 天使が十人 留まっていた 僕は、わざと 「あっ、悪魔だ」 と、言ってやった そうしたら、十人の天使が 僕に目めがけて、一斉に 尿をかけてきた いわゆる、立ちションならぬ 空ション、あるいは、浮遊ションである そんな、下らないことを考えているう…

無敵蛙、我を見失って、友も失う

ひ弱蛙は、無敵蛙に捕まり 相撲の相手をやらされることになった 無敵蛙は、ひ弱蛙に対し あらゆる技を使って 二百回以上、投げ飛ばした 無敵蛙ときたら、大胆になって 「今日は、すこぶる調子が良い あと三百回は、投げ飛ばしてやろう」 そう考えながら すっ…

蛙相撲概論~その代表的、決まり手について~

蛙相撲は 立ち合いで お互いが飛びかかり 腹と腹がぶつかり合い 「ピターン!」という 大きな音が鳴らないと 取り直しである 顎や腹や前脚が 土俵につくと 負けになるが 後ろ脚の膝や脛が 土俵についても 勝敗とは無関係である 蛙相撲で 一番多い、決まり手…

天国歴史大事典によると

神は自殺した 天井に首を吊り 椅子が横になって、転がっていた かれこれ、百万年以上、前の出来事 天使たちは、醜い後継者争いをした それは、長い長い、争いとなった そして、二代目の神様が決まった 月日は流れ、また、神が自殺した 天井に首を吊り 椅子が…

ある日の天国のスケッチ

雲の上で、大勢の天使が シャボン玉を吹きながら 大騒ぎしている 今日は、年に一度の 夏のシャボン祭りだから 全ての天使が 泡だらけになって 天国中を石鹸臭くしても 神様は、何も咎めない 雲の上で、大勢の天使が シャボン玉を吹きながら 大騒ぎしている …