詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

神様でさえ、ご存じない

障害天使は 翼が片方しかなく 空を真っ直ぐに飛べない ある日、神様の機嫌が悪い時 障害天使が言い放った、卑猥な冗談が 神様の逆鱗に触れ 罰として、反論する間もなく 翼を片方、もぎ取られてしまった これが翼を失った原因 「それは確かに 趣味の悪い冗談…

神の配慮が裏目に

あくび天使は 眠ってばかり 起きたと思ったら すぐ、あくび あくびしたと思ったら また、眠っている 不眠症の天使たちの 眠りを誘引するために 神が創られたのが このあくび天使なのだが 寝てばかりいて 入浴しない、というより 何もしないから 不潔そのもの…

浦島太郎の後悔

私が竜宮城から帰って来て 絶対に開けてはいけない と、向こうで約束した玉手箱を つい、開けてしまうと そこには、ぎっしり 亀の子が敷き詰められていました 彼らは、私に、こう訴えます 「我々は、親に捨てられました これからは、貴方を親と慕って 生きて…

満月と海月と遊び心

皆さん、ご存じの通り クラゲといえば 様々な色の種類があるものです そんな多種多様のクラゲたちが 一斉に、海を飛び出しまして フワフワ、フワフワ、浮き出しまして それは無数におりまして クラゲが、夜空を泳ぐこと五分 星に、クラゲが、かぶさって ラン…

投石危険の教訓

少年は、月に向かって 石を投げ続けた たまに、横をかすめるだけで 一度も当たらなかった でも、毎日やっていたから コツが分かってきて ついに、石を月にぶつけることに成功した しかも、連続で三回! 少年は気付かなかった 月が何処かへ消えてしまったこと…

王様は、自称・築城の名人

王様は 段ボールを使って 城を作った そして、頭から 鎧のように装着した 世界初の移動式が 何より自慢だった 「全ての都市が、ワシの城下町」 これが王様の口癖 ある日、王様は 通りすがりの女に、ひと目惚れした 城をアピールしながら お茶に誘ってみた 相…

バチアタリ者に厳罰を

バチアタリ者が 非バチアタリ者、総勢二十人に 包囲され、捕縛され 殴られ、蹴られ、水をかけられ また、殴られ、蹴られ、水をかけられ 結局、死んだ 非バチアタリ者の一人が 「たぶん、冤罪だったと思う」 と、無表情な顔でつぶやいた それを聞いた 他の非…

日本的ギリシャ神話

ウナギメドューサは 頭髪が、蛇ではなく ウナギである この頭髪のウナギ 引っこ抜いても 引っこ抜いても どんどん、生えてくる 世界で最も、効率の良い ウナギの養殖装置といっても 過言ではない ただし、ウナギメドューサの目を見た者は 全身がヌルヌルにな…

若き日の過ち

海坊主が 髪を伸ばして 海ロン毛になった 彼は、髪を伸ばして 初めて気付いたのだが まるで海藻のような 天然パーマだった それをカモメが 集団で見物に来て 大笑いするので 海ロン毛は、急に恥ずかしくなり せっかく、伸ばした長い髪を バッサリ切って、元…

ある民俗学者の話

山が動いた 目の前にあるものを どんどん、踏み潰して進むので 山の麓に住む村人たちに 大変な被害が出ていた 別の山が動いた この山は、人間の味方で 狂ったように暴れる山を 何とか、止めに入ったのだった 山と山が 正面からぶつかった後 マワシを取り合っ…

神の謝罪

倒錯天使は 十代の少年悪魔ばかり 恋愛対象にするので 中学生・高校生の男子がいる 悪魔の家庭から、常に警戒され 悪魔の居住区へ、彼が浸入するだけで 住民に、あるだけ石を投げられ 「本当の悪魔は、お前だ!」 と、罵倒されるのも、日常茶飯事である しか…

醜い醜いアヒルの子

醜いアヒルの子は 大人になって それは見事な、白鳥になりました 仲間の白鳥たちから 「アヒルなんて、相手にしないで 我々と一緒に旅へ出よう!」 と、誘われましたが 「まだ、やり残したことがあるので 先に行って下さい」と、彼は断りました 血の繋がりこ…

ある山中の村の掟

疲れて、脚が棒になった男は 両手を広げさせられ 針金で固定され 案山子のようにされ 山の畑に立たされ 野ざらしにされ まるで、鳥葬と変わらない そして、数日後 見るも無惨な姿になる その山の畑には 何体もの、案山子にされた 脚が棒になった男たちがいて…

赤ずきんちゃんの結婚、その馴れ初め

赤ずきんちゃんは、訊きました 「ねえ、お婆ちゃんの耳は どうして、そんなに大きいの?」 お婆ちゃんに変装している、狼は答えました 「それは、お前の声が よく聞こえるようにさ」 赤ずきんちゃんは、続けて訊きました 「ねえ、お婆ちゃんの口は どうして…

走れ、セリヌンティウス

メロスは激怒した あれだけの盛大な結婚式を挙げて 嫁入りさせた妹が まだ、新婚なのに 早くも、浮気しているらしい しかも、その相手が 彼の親友である あの、セリヌンティウスだという 取り敢えず、メロスは自宅に 妹を呼び出して、真相を訊ねた やはり、…

天使のような、悪魔のような

叱られ天使は 誰に対しても ペコペコしていた 謙虚というより 卑屈といった方が、ふさわしかった とにかく、どんな理不尽な相手に対しても 土下座までして、謝罪した そして、月日は流れ、その心の闇は広がり 現在は、悪魔のような姿に変貌し 悪魔界でも、知…

ウサギとカメとタヌキ

ウサギとカメが 長距離競走をしました 最初は、脚力に勝るウサギが 圧倒的にリードしましたが 途中で、油断したウサギが 木陰で、昼寝してしまったため 最後は、カメが大逆転勝利をしました このレースを賭けの対象にしていた 山の動物たちは 当然、ウサギの…

ダイヤ姫をめぐる、男女の価値観の違い

ダイヤ姫は美しい とにかく、誰よりも輝いている そのフォルムは 歳を取っても、変わることのない 女たちの憧れの的 しかし、男たちは 「あんなカチコチ女 触りたくもない」 と、陰で嘲笑している という訳で、ダイヤ姫は 同性に崇められるばかりで 異性には…

魔法をかけられたシンデレラ

シンデレラは 母親と姉たちに 毎日、酷い虐めを受けていました そのストレスが原因で、シンデレラは 頭がおかしくなってしまいました それがはっきりしたのは ある晩、母親と姉たちが お城の王子様主催の舞踏会から 帰って来た夜でした シンデレラは、ガラス…

刀太郎、噂を信じちゃいけないよ、と思う

刀太郎は 都に化け物が出るという噂を聞き 自分が退治してやろうと、故郷を後にした その途中 ピストル太郎 マシンガン太郎 バズーカ太郎と、遭遇した どいつもこいつも ただのならず者で 刀太郎を、やたら挑発するので 相手が銃器を身構える前に 自慢の刀で…

三匹の子豚と遺産相続

あるところに 三匹の子豚の兄弟がいました 子豚とはいえ、豚的常識でいうと もう、自立していい歳だったので それぞれ、親許を離れ 自分の家を建てました 最近、狼がらみの物騒な事件が多いので 三匹とも、頑丈なレンガの家を建てました ただ、次男、三男が …

金太郎、弟と再会したものの

マサカリかついだ金太郎は 足柄山で、最も強い動物である 熊との相撲に勝ち 天下人気取りで、偉そうにしていたが そこへ、金太郎の母違いの弟である チェーンソーかついだ銀次郎が現れ あっさり、山の首領の地位を 奪われてしまった 後に、このような歌も出…

アリとキリギリスと、アリの子供たち

アリは、春夏秋と働き通しで 冬が来るのに備えました 一方、キリギリスは 冬になれば、食べ物が無くなる事実を 忘れてしまうほど 春は、花見に遠足 夏は、キャンプにプール 秋は、月見に趣味のバイオリン 日々、暇があれば、読書 と、人生を楽しんでいました…

桃太郎と、その子孫十三世の話

桃太郎 桃太郎は小舟に乗って 犬、猿、雉を引き連れ 鬼ヶ島へ、鬼退治に行きました しかし、実際、現場に到着して 本物の鬼たちを見た 桃太郎一行は 「あんな連中に勝てるはずがない」 と、戦意喪失してしまいました 桃太郎は言います 「所詮、僕なんて子供…

氷男二人の哲学的対話

氷男の人生観 氷男は、夏に生まれて 秋には死ぬ プールや海を歩いて 人々に、ペタペタ触ってもらい 涼んでもらうのが 主な仕事であり、宿命である 氷男Aは言った 「北極か南極にでも、行きたいね」 氷男Bは答えた 「どうやって?」 「言ってみただけさ」 …

いざ、新天地へ

惨め天使は 翼がボロボロで 空もまともに飛べない 頭の輪っかもヒビだらけ 髪は登頂部が禿げて、河童状態 顔は、シワシワ、かつ、シミだらけ 上の前歯は、二本しかない 体の皮膚は、張りがなく 胸や尻が、だらしなく垂れている おまけに、声や仕草まで、不快…

失恋の傷痕が観光資源に

クラゲが失恋をした 何もかも忘れたくて クラゲは、泣きながら、回転し続けた 「回るしかない、回るしかない 止まったら、死にたくなる」 クラゲは、そう思いながら どんどん、回転速度を上げていった 「回るしかない、回るしか・・・」 クラゲは、そう思いなが…

教科書には載らない歴史の真実

ある地下道に存在する鼠の国に 鼠食べまくり猫が、一匹紛れ込んだ それは、もう、東京に ゴジラが現れたくらいの 上を下への大騒ぎとなった 実際、鼠の国の住民たちは 日々、鼠食べまくり猫の餌食となった 鼠の国の住民が、半分まで減り 「国はどうして、何も…

複雑な心境

海底に、年老いた巨大蛸が 泥のように、生息していた しかし、もう、死にかけなので 脚一本しか動かない、墨も吹けない 仲間の若い蛸たちが 当番制で、生死の確認をする そして、食事も運んでやる 「おーい、爺さん 調子はどうだ?」 と、若い蛸が大声で呼びか…

降蛙確率の高い日は

朝から、小さな蛙が降り続いている 彼らは、私の傘にも 無数に貼り付き やがて、零れ落ちる 地面に落ちている 小さい蛙たちを 私は、容赦なく 長靴で踏み潰しながら 目的地へと向かう 小さい蛙たちは 私に抗議しているつもりか ケロケロ、ケロケロ とにかく…