砂の城の暴君
砂の城が崩れてゆく
それも一気にではなく、微妙に
住人たちは
ポロポロと崩れ、溜まっていく
砂をかき集めて、どうにかこうにか
城の破損部分を、修繕していくが
人手が足りず、城はところどころ
ただの砂と化している
王様は、いつも怒ってばかりで
仕事のはかどらない、住人の頭を
シャベルの柄で、何発も小突く
更に、王女がジョウロで、水をかける
こんな酷い仕打ちを受けた住人は
誰しも一度は、この城を出ようと、心に誓う
しかし、この城の外は
とてつもなく広大な、砂漠であり
生きて外国へ渡れる保証などなく
結局、脱出を断念せざる得ない
そして、今日も、いつものように
全ての住人が、せっせと城の修繕に励む
城の外では、砂塵が風に乗って
何処か遠くへ、飛んで行く
住人たちは、それを
羨ましそうに眺めて
ただ、大きいため息をつく