今は亡き、アイツへの弔辞
着飾らしてやりたかった
毎日、いつ何時でも
裸でいるしかなかった
アイツを
着飾らしてやりたかった
自分のプライドを守るために
服を着る者、着る者に
暴言を吐く、時には殴る
アイツを
着飾らしてやりたかった
人に隠れて
ファッション雑誌を眺めつつ
思わずため息をつき、ふと鏡を見る
アイツを
着飾らしてやりたかった
そんなアイツも
もう、火葬にされて
全てを脱いで、骨となってしまった
もう、二度と
服を着るチャンスなど
なくなってしまった
ああ、アイツを、着飾らしてやりたかった