詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

さみしい病人の、それはさみしい最期

 

さみしい病人がいました

さみしい病人は、入院していました

 

さみしい病人は、男でした

さみしい病人は、年齢不詳でした

さみしい病人は、住所不定でした

 

しかし、誰も気にかけませんでした

 

さみしい病人は、不治の病でした

しかし、死に至る病という訳ではなく

誰も、お見舞いには来ませんでした

 

そもそも、友人はなく

家族は、いや、一族全てが

既に亡くなっているのでした

 

さみしい病人には、発作がありました

「さみしい、さみしい、さみしい」

と、震えながら、もがき続け

最後は気絶してしまうのですが

医師も看護師も、「いつものこと」

と、放ったらかしが普通でした

 

さみしい病人は死にました

病院の駐車場の隅、草むらに埋もれ

ひっそり、目立たず、死にました

 

自殺?他殺?それとも病気?

死因もわからないし、死体も発見されず

放置されたまま、白骨化していました

 

「あのさみしい病人、退院したのか?」

ある時、医師が、皆に訊いて回りました

「さあ、私は知りませんけど」

病院の全関係者の答えが、これでした

 

以上、さみしい、さみしい

それはさみしい、病人の話でした