詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

赤ずきんちゃんの結婚、その馴れ初め

 

赤ずきんちゃんは、訊きました

「ねえ、お婆ちゃんの耳は

 どうして、そんなに大きいの?」

 

お婆ちゃんに変装している、狼は答えました

「それは、お前の声が

 よく聞こえるようにさ」

 

赤ずきんちゃんは、続けて訊きました

「ねえ、お婆ちゃんの口は

 どうして、そんなに大きいの?」

 

狼は黙りました

本来なら、ここで

「それはお前を食べるためだよ!」

という、決め台詞を叫ぶべきでしたが

「どうでもいいけど

 お前、視力悪過ぎないか?」

と、疑問が先に出てしまいました

 

赤ずきんちゃんは、答えます

「お母さんは、私をこき使うばかりで

 眼鏡を買ってくれないの」

 

狼は、この少女を

このまま食べてしまうのは

何だか、不憫に思いました

自分が、眼鏡を買ってあげて

色々と、この世界の美しいものを

見せてあげたいと思いました

 

そして、狼は、お婆ちゃんの服を脱ぎ

「おれは狼だよ

 お前のお婆ちゃんは食べちゃったよ」

と、バツが悪そうに言いました

 

赤ずきんちゃんは

始め、唖然としていましたが、狼が

「別に、罪滅ぼしってことでもないんだが

 君の眼鏡、俺がプレゼントしよう」

と、言うと、彼女は大喜びで

「本当?狼さんって、慈善家ね

 私が大嫌いだった

 お婆ちゃんも殺してくれるし

 私、一生、あなたについていくわ!」

と、狼に抱きつき、キスまでしました

 

数年後、このことが縁で

狼と赤ずきんちゃんは、結婚しました

子宝にも恵まれ

いつまでも、仲むつまじく

暮らしていたそうです

 

最後に、余談ですが

よくホラー映画などに出て来る『狼男』は

この夫婦の、子孫だということです