月と星とピアニスト
深夜、ある一流ピアニストが
両手で鍵盤を、思いっきり叩いたら
ジャーンと、大きな音がして
夜空の星が、全て墜ちました
月だけが残されて
ずっと、泣いていました
そして、ピアニストは
月しかない、夜空を見つめて
その罪深さに失神し
そのまま、気が触れてしまいました
「もう、ピアノは弾かない
もう、夜は出掛けない」
誰と会っても、それしか言わなくなりました
月と星たちの
タチの悪い、イタズラとも知らずに
夜空に星が帰っても
未だに、正気に返らない
可哀想な、元ピアニストの話です