魔性のランプ
さみしいランプに
一匹の蛾が、恋をした
蛾は、ランプの周囲を飛びながら
彼女に、「好きだ」と告白をした
さみしいランプは、沈黙を守った
その態度に、蛾は堪らず
彼女に向かって、体をぶつけた
ボッと、火が点いた
蛾は、チリチリと音をたて
床に落ち、灰となった
一体、これまで何匹の蛾が
さみしいランプに恋をして
接吻や抱擁を求め
哀れ、灰になっただろう?
さみしいランプは
今夜も、酷い自己嫌悪に苛まれ
持病の不眠症は、改善しそうにない
ああ、さみしいランプの、業の深いこと