詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

婚活とハネムーン

 

働き者の蜘蛛がいた

とにかく彼は、四六時中、よく動いた

自分の巣を延々と、拡張していった

餌になる、蝶だの、蜻蛉だの

虫をいっぱい、捕獲、貯蔵した

 

地域一の大豪邸に住む

大変な資産家である

この働き者の蜘蛛は独身で

ある時、こう決意し、宣言した

 

こんなところに

ずっと、引きこもっていても

餌はともかく、嫁はやって来ない

 

「婚活の旅に出よう!」

 

働き者の蜘蛛が家を留守にして

しばらくすると、彼の大豪邸に

ハネムーン中の

蜘蛛の新婚夫婦がやって来て

勝手に住み着いてしまった

 

妻「ねえ、持ち主に出て行けって

 言われたらどうする?」

夫「お前こそ、あっち行け!

 って、怒鳴り散らしてやる」

妻「まあ、素敵!

 アナタって、勇ましいのね」

夫「惚れ直すがいい

 二度、三度と惚れ直すがいい」

妻「何度でも惚れ直すでしょうね

 私、アナタと一緒になって最高に幸せ!」

夫「まあ、ここに貼り付いている

 モンシロチョウでも食べよう」

妻「食べますとも

 ここにあるだけ、食べますとも

 

この二匹の蜘蛛の夫婦は

死ぬまでここで、幸せに暮らしたという

 

働き者の蜘蛛の方は、消息不明

あくまで風の噂だが

多くの雌蜘蛛に、求婚し続けた彼は

求婚の数だけ、フラれ続けて

ショックで自殺したとか、しないとか

 

婚活なんて、しなきゃ良かったのに