言葉はいらない
無口な子
何も語らず
ずっと、考え事をしている
何を考えているかというと
他人に、まず、何を語るべきか?である
しかし、こんな簡単な、というより
どうでもいい話の結論が
何年経っても、出やしない
やがて、無口な子は
無口な青年となった
この頃、彼の祖父母は
我が孫の声を聞く前に
亡くなってしまった
更に月日は流れて、無口な青年は
無口な中年となった
この頃、彼の両親は
我が息子の声を聞く前に
亡くなってしまった
このままだと、子供の頃から
というより、生まれた時から無口な彼が
無口な中年から、無口な老人になることは
避けられそうにない
ゆえに、奥さんも、二人の子供も
彼の将来を、とても心配している