詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

子供の頃の思い出~昔の方が良かった~

 

月の子供が三人で

素早く、地上へ降りて来て

仲良く、手を繋ぎ

そろり、そろりと

灰色のブロック塀に

背中をつけながら、路地を歩く

 

長男の月太郎は言う

「人間に見つかったら、ヤバイよ」

 

次男の月二郎は答える

「うん、もう、喋らない方がいい」

 

三男の月三郎は

初めての地上なので

とにかく、緊張し、震えている

 

そこへ、蛾がいっぱい、集まって来た

 

月の子供たちが

やたら、光っているからだ

 

「わあ、気持ち悪い

 身体が、痒くなった気がする」

と、月三郎が泣き出した

 

月太郎と、月二郎は

必死になって、月三郎につきまとう

大量の蛾を追い払った

 

そして、近くの小学校の中へ逃げ込み

持参した、コーヒーとサンドイッチを

三人で、仲良く、分け合って食べた

 

月三郎は、遅ればせながら

兄二人に、さっき、蛾の大群から

自分を守ってくれたことへの

お礼の言葉を述べた

 

月太郎も、月二郎も、笑顔で

「兄弟なんだから、当然だろう」

と、月三郎の頭を、優しく撫でた

 

まさか、この微笑ましい三兄弟が

○○年後、父親が亡くなった時

他の星たちを呆れさせた、血で血を洗う

後継者争いをすることになるなんて

 

一体、誰が想像出来ただろう?