詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

可哀想な錆びたロボット

 

錆びたロボットは

ギイギイと、音をたてながら

ぎこちない動きで、街を歩き

 

手当たり次第、誰に会っても

「錆を取ってください」

と、頼むのだが、みんなに断られ続け

 

ついに、錆で動かなくなった

 

公園のベンチに座ったまま

オブジェのように、静止している

 

公園に来た、子供たちに

「何か言えよ」と、小突かれても

 

錆びたロボットの返答は

「錆を取ってください」

と、小声で言うだけ

 

無情な子供たちは

「もっと、錆びてしまうがいい」

と、笑いながら、立ち去るだけ

 

数年後、錆びたロボットは

完全に、錆の塊となってしまった

 

邪魔だし、見栄えも悪いという

住民からの苦情で、撤去されることになった

 

役所に雇われた作業員が

ベンチに置かれた、錆の塊を

トラックへ積み込む時

 

錆びたロボットの、なれの果ては

残りのエネルギーの全てを使い

こう、嬉しそうに言った

 

「やっと、錆を取ってくれるのですね?

 諦めず、待ち続けて、本当に良かった!」

 

可哀想な、錆びたロボットが

笑顔のまま、固まった状態で

 

スクラップ工場へと、運ばれて行く