真昼の幽霊
ひとりぼっちの、美しい少女
永遠に、微笑し続ける、だけの
真昼の・・・幽霊
太陽の光を気にして、木陰から出ず
病院の、人の行き来を眺めながら
退屈そうに、あくびをする
この世に、未練があるとは、思えない
とにかく、無邪気な、真昼の・・・幽霊
好きな男と出会う前に
この病院で、命を落とした
恋することに、キスすることに
憧れ続けた、夢想家の
それゆえ、この世に
未練を残し、存在する
脚の見えない、真昼の・・・幽霊
昔から、白く、細く、長い
魅力的な脚が、自慢だったのに
今では、すっかり、過去のこと
しかし、私は忘れない
ひとりぼっちで、微笑する
美しい、真昼の、幽霊を
切ない、切ない、魂の
憐れむべき、わがままの結晶を