詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

天使、降格し、死神になる

 

ある時、一人の天使が

神様に呼び出され

「君、今日から、死神だから」

と、降格人事といえる、辞令を受けた

 

死神は、本当に嫌な仕事である

 

人間の、生きるか、死ぬかは

神様の気紛れに過ぎないのに

 

現場に直接行って

実際、命を奪うのは

死神なのだから

 

当然、呼び出された天使は

「私には、荷が重過ぎます!」

と、土下座してまで、断ろうとした

 

神様は言った

「嫌な仕事かも知れないが

 誰かがやらないと

 地球が人間だらけになってしまう」

 

天使は思った

「そんなこと、知ったことか」

 

神様は続けて、こうも言った

「何事も、気の持ちようだよ

 君が思っているほど

 うしろめたい仕事ではない

 すぐ、慣れる

 楽しいこともある

 誇りも持てるようになる

 

天使は思った

「じゃあ、自分がやれば?」

 

神様は、つれなく、こう断言した

「もう、決定だから」

 

天使は、涙ながらに

神様の辞令に従い、死神となった

 

この新しい死神は

一年もしないうちに

大きな鎌を振り回す姿も

なかなか、様になってきたが

 

未だに、さも善人や

幼い子供の命を奪う時は

うしろめたくなり、躊躇するし

 

実行後は

 

一晩中、酒を飲みつつ

宗教や哲学の本を読み漁り

 

やりきれない気分を

どうにかして、落ち着かそうと

必死だそうである